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ダムの街は今:’10年大町市長選/下 市立総合病院の経営危機 /長野

 ◇始まった市民との対話

 昨夏、市立大町総合病院の高木哲外科長は不穏な話を耳にした。

 「来春、内科医が4人から2人に減るらしい」

 当時、同病院の外科医は3人。主体となる内科医より数が多いことになったら、こちらも減らされるのは明白だった。「外科医も撤退したらこの病院は終わりだ」。危機感を募らせ、現状を住民に伝えようと決意した。各地区で病院の現状を伝える地域懇談会を開いて回ると、住民からは「そんなに大変とは知らなかった。自分たちでできることはないか」との声が多数上がり、今年5月、住民有志の手で「大町総合病院を守る会」が発足した。

 大町市だけでなく、大北地域(同市・北安曇郡)全体の命を支える同病院の経営状態は深刻さを増す一方だ。医師不足で一時期、診療制限をしたため患者数が減少し、08年度の純損失は3億2800万円。09年度は過去最悪の4億円を超える見通しだ。市の一般会計から病院への繰出金は過去4年、毎年6億円以上かかり、市財政を圧迫している。

 県が派遣元の信州大に働きかけるなどして今春、新たに5人の常勤医が赴任した。医師数は計19人から21人に増え、内科医は7人に。だがその後、患者数はほとんど増加していない。高木科長は「これまで患者が来るのが当たり前と思い、経営に無とんちゃくだった」と、院内の意識改革を進める考えだ。

 守る会代表の小林敏博さん(62)は「市民からも意見をどんどん言い、できることはボランティアで手伝う。一緒に支え合っていくことが大事だ」。ようやく危機感を共有した市民と病院の対話は、始まったばかりだ。

 同病院の再生は、両候補も重要課題に挙げる。無所属新人の傘木宏夫氏(50)は「2~3年で市役所に戻る職員人事をやめ、病院経営の専門家を育てる」と主張。無所属現職の牛越徹氏(59)は「病院と診療所や開業医との連携を強化し、地域全体で医療を支える」と訴える。

   ◇  ◇

 どちらのリーダーが、山積した市政の課題に解決の道筋をつけられるのか。市民の選択の日が刻々と迫る。大町市長選は27日、投開票される。【大平明日香】

毎日新聞 2010年6月24日 地方版

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