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全患者が生活保護 34医療機関調査へ…大阪市

 生活保護受給者の医療扶助を巡り、大阪市が診療報酬明細書(レセプト)のデータ(昨年11月〜今年1月)を調査したところ、大阪府内の34医療機関に入院または通院していた患者すべてが、受給者で占められていたことがわかった。別の医療機関でも受給者の通院日数が目立って多いケースや、1件あたりの診療報酬が突出している事例もあった。市は「過剰診療などの不正請求の疑いがある」として、近く受給者らへの聞き取り調査に着手し、医師会と連携し、医療機関の個別調査にも乗り出す。

 受給者は自己負担なしで診療や投薬を受けられ、費用は医療扶助として全額公費で支払われる。大阪市では2008年度の医療扶助費が生活保護費全体の約5割にあたる約1129億円を占めるなど、財政を圧迫する事態が続いている。

 市は医療扶助の状況を調べるため、府内の医療機関が提出したレセプト3か月分のデータを集約。市内受給者のレセプト件数や1件あたりの金額、受給者と受給者以外の通院日数の差など6項目について、それぞれ数値の高い医療機関をリストアップした。

 その結果、15病院・診療所の入院患者(レセプト1193件)、16診療所の通院患者(同536件)、3歯科の通院患者(同222件)が、いずれも受給者のみだったことが判明した。

 また、患者全体に占める受給者の割合が9割以上の医療機関も多かった。受給者の通院日数の平均が、受給者以外の患者の16〜17倍に達したり、受給者のレセプト1件あたりの診療報酬点数(1点10円)の平均が、受給者以外より4万点以上多かったりした医療機関がそれぞれ複数あった。

 市は「現時点で、すべてで不正請求があるとは言えないが、貧困ビジネス業者と結託し、意図的に過剰診療や架空診療を繰り返している医療機関が含まれている可能性がある。徹底して調査する」としている。

 レセプト 医療費の支払いを自治体などに求めるため、医療機関が作成する月単位の請求書。患者の氏名や生年月日、傷病名のほか、投薬、検査、手術などの診療内容が記載されている。

2010年6月24日  読売新聞)
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