決戦の舞台は、夢への架け橋となる。阿部に近い関係者によると、阿部の親族が南アW杯終了後、浦和での“ラストゲーム”を観戦する計画を立てていることが判明した。その理由は「オランダリーグへの移籍が近づいているので」と明かした。
欧州移籍を熱望する阿部は1月、07年から在籍する浦和との契約を1年延長したものの、クラブ側は今夏の移籍を容認する姿勢。移籍先としてはVVVフェンロ(昨季リーグ12位)、フェイエノールト(同4位)の名前が挙がっており、移籍金などの条件面で合意すれば、正式オファーに発展する可能性が高い。
とくに、08年に日本代表MF本田の補強で成功したVVVのベルデン会長は、日本人選手獲得に積極的。1月にJ1名古屋から獲得したDF吉田麻也(21)に加え、「チームに2人の日本人がいるのが理想」と公言している。28歳の阿部には、年齢的にも最後のチャンスとなる。
もちろん、いまは置かれている状況に完全集中する。デンマーク戦は3戦連続でアンカーに入ることが確実。1メートル91の長身FWベントナー、フェイエで活躍するトップ下のMFトマソンの“つぶし役”として起用される。引き分け以上で1次リーグ突破が決まるなか、岡田武史監督(53)はロングボールのこぼれ球を警戒するよう、ミーティングで選手に通達しており、そのキーマンとして期待されている。
「勝ったら決まり。やってきたことを出したい。次のステージにいけるように頑張りたい」。オランダの2つのクラブの熱視線を感じながら、夢舞台で完全燃焼する。