「まさか、えびので」‐。28日、家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」に感染した疑いのある牛が見つかった宮崎県えびの市。役所の担当者や畜産農家は対応に追われた。
口蹄疫の疑いがある牛や豚が相次いで確認されている同県。しかし、同市から70キロほど離れていた都農町や川南町に限られていただけに、村岡隆明市長は「県の封じ込め作戦が成功しているものと思っていたのに…」と言葉を失った。
市は現場の農場につながる市道4路線(計2600メートル)を封鎖。農場に続く2カ所の私道には関係者以外が近づかないよう24時間態勢で職員を配置した。肥育牛275頭は29日以降に処分し農場内に埋めるという。
周辺の畜産農家は不安げな表情。農場から約500メートルの自宅で牛8頭を飼育する50代男性は「被害がこないよう、よそに被害がいかないように努めることしかできない」と話した。約2キロ離れた地域の畜産農家は共同で自主防疫を開始。通行車両に止まってもらい、噴霧器で消毒剤をかけていた。
=2010/04/29付 西日本新聞朝刊=