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【社会】

沖縄「慰霊の日」 普天間高生が詩朗読

2010年6月23日 夕刊

沖縄全戦没者追悼式で、平和の詩を朗読する名嘉司央里さん=23日午後、沖縄県糸満市の平和祈念公園で

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 移設問題に揺れる米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の近くに住む県立普天間高校3年の名嘉司央里(なかしおり)さん(17)が、23日の沖縄全戦没者追悼式で平和の詩「変えてゆく」を朗読し、沖縄戦の「負の遺産」を引きずる基地の島の日常を「平和で塗りつぶしていこう」と訴えた。

 「何でこんなにたくさんの人が死ななければならないの…」。小学1年生のころ、戦没者の名前を刻んだ「平和の礎(いしじ)」を初めて目の当たりにし「切なく、悲しくて胸が痛くなった」。80歳を超す祖母ら戦争体験者たちから聞かされた、激戦の様子や住民集団自決の悲劇。戦没者遺族の今も癒えない心の痛みを詩に込めた。

 一方で、宜野湾市に生まれ育った名嘉さんは、防音対策の二重窓の向こうからも響いてくる米軍機の爆音で授業が中断される生活に慣れきっていた。「違和感を感じるこの状況を今、変えていきたい。戦争につながることすべてをなくしたい」

 中学時代から、平和への「願い」を書いた詩を応募し続けていた。「でも平和は、ただ願ってもやって来ない。自分たちが普段から意識していくことが大事なんじゃないかなと思うんです」

【平和の詩全文】 

  変えてゆく   普天間高校3年 名嘉司央里

今日もまたはじまる

いつもの日常

当たり前に食事をして

当たり前に好きなことを学んで

当たり前に安心して眠りにつく

そんな普通の一日

今日もまたはじまる

いつもの日常

当たり前に基地があって

当たり前にヘリが飛んでいて

当たり前に爆弾実験が行われている

そんな普通の一日

一見「平和」に思えるこの小さな島

そこにいつの間にか当たり前ではない

当たり前であってはならないものが

入り込んでしまっていた

普通なら受け入れられない現実を

当たり前に受け入れてしまっていた

これで本当にいいのだろうか

平凡な幸せを感じながら

ただただ「平和」を望む今

簡単にこの違和感を

無視していいのだろうか

黒いたくさんの礎

刻まれるたくさんの名前

そこで思い知る

戦争が残した傷跡の大きさ深さ

何も幸せなど生まれなかった

何も手に入れたものなど無かった

すべて失ったものばかりだった

忘れてはならない

この島であった悲しい記憶

目を背けてはならない

悲しい負の遺産

それを負から正に変えてゆく

それがこの遺産を背負い生きてゆく

私達にできること

変えてゆくのは難しい

しかし一人一人が心から

負である「戦争」を忌み嫌い

正である「平和」を深く愛する

そんな世界になれば

きっと正の連鎖がはじまるはずだ

6月23日 慰霊の日

あの黒いたくさんの礎には

たくさんの人々が訪れる

そして その一つ一つの名前に触れ

涙を浮かべながら語りかける

「今年も会いに来たよ」と

手を合わせ目を瞑り祈りを捧げる

その訪れた人々に

「平和」を願わないものはいない

「一度あった事は二度ある」

そんな言葉を聞いたことがある

しかし こんな悲惨な出来事は

もう繰り返してはならない

だから…

「一度あった事は二度とない」に

変えてゆこう 平和で塗りつぶしていこう

その想いはきっと届いているはずだから

 

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