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(「世界中に愛をワールドメイト」とは、深見東州氏がリーダーである宗教団体である。また、同氏は、本名である半田晴久の名で、「普遍的宗教性の現れ」とでもいうべき様々な社会福祉活動を行っている。)
2.加盟店からの不当ピンハネ疑惑
2−1.加盟店からの不当ピンハネ疑惑
私たちが普段からセブン−イレブンの店舗で買っている弁当や飲料、日用品や雑誌。以外と知られていないことだが、これらはすべて、各加盟店のオーナーたちが、セブン−イレブン本部ではなく、納入業者から直接仕入れ(=購入)しているものだ。ところが驚くべきことに、オーナーたちは自分が購入しているこれらの品物の値段(買値)が本当はいくらなのか、誰一人として知らされていない。元加盟店オーナーのひとり、川島稔さん(仮名)は次のように証言する。
「われわれ加盟店オーナーは、言うまでもなく皆、独立した事業主。本部とはフランチャイズ契約を結んではいますが、商品の仕入れは本部からするわけではなく、本部が推薦する販売元(あるいは製造供給元)と、直接行っています。」
「ところが支払いの段階になると、本部がこの間に割り込んできて、われわれが日々送金する売上金の中から、代金の支払いを『代行』するんです。そして本来なら店舗に送られてくるべき請求書も、『代行者』にすぎない本部にしか送付されない。私たちがこれを見ることは決してできないわけです」
また、川島さんらが本社から受け取る明細には、時折「仕入値引」という勘定科目が計上されていることがある。この科目は、本部の(一方的な)説明によれば、商品仕入に際して販売元が値引をしてくれた金額だということだが、コンビニのフランチャイズ契約問題に詳しい日本大学法学部名誉教授・北野弘久氏によれば、この呼び方はまったくおかしいものだと言う。
「企業会計上、仕入値引とはそれぞれの加盟店ごとの仕入事情に応じて、個別に行われるもの。本部がその個別の事情を加盟店に示すこともなく、一方的に『仕入値引』と読んでいるようなものを、仕入値引とは呼べない」(北野氏)
各加盟店は、仕入の値段が下がるわけだから、この仕入値引に対しても、その分余計にチャージを掛けられることになる。北野氏の見解では、これもまた重大な違法行為であるという。だが、そもそも本当に販売元、あるいは製造供給元が本当に値引きをしたのかどうかも、「請求書が送られてこない以上、加盟店には確認する術がない」(川島さん)と言うのだ。
請求書の受け渡しを拒み続けるセブン−イレブン本部は、「フランチャイズ業務の遂行上、請求書を管理する必要がある」という大義名分を掲げる。だがこれに関しても、前出の北野氏は次のように反論する。
「本当にそれが理由ならば、本部側はコピーをとればよいだけのこと。独立した事業主である加盟店オーナーに請求書を送らなくていい理由にはならない。何も不正をしていないなら、見せられない理由などないはず。見せられない以上、本部は加盟店に対し、ピンハネなどの不正をしていると疑われても、当然の結果だ」
本部が、フランチャイズ加盟店からの不当なピンハネ−。小売業界最大手にして、日本人ならば知らぬ者などいない大企業に、あってはならないことだ。実際にピンハネをしているのか、いないのか。セブン−イレブン本部がこれまで一方的に主張してきたように、「製造元からの請求額と、本部が加盟店に請求する金額の間に『差額』なるものは存在しない」というなら、まずは加盟店オーナーたちが購入した品物の請求書を公開し、オーナー側にある仕入日報(セブン−イレブンが請求書の代わりに送ってくる、支払いの記録)と照らし合わせてみればいい。
だが、現実にはセブン−イレブンは、ただこれだけのことを頑なに拒否し続けており、結果何人かのオーナーたちが、「自分が仕入れた品物の請求書を見たい」という、呆れるほど当然の権利を要求するために、法廷での争いを繰り返してきた。
(古川琢也+金曜日取材班、2008、株式会社金曜日)
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2.加盟店からの不当ピンハネ疑惑
2−1.加盟店からの不当ピンハネ疑惑
私たちが普段からセブン−イレブンの店舗で買っている弁当や飲料、日用品や雑誌。以外と知られていないことだが、これらはすべて、各加盟店のオーナーたちが、セブン−イレブン本部ではなく、納入業者から直接仕入れ(=購入)しているものだ。ところが驚くべきことに、オーナーたちは自分が購入しているこれらの品物の値段(買値)が本当はいくらなのか、誰一人として知らされていない。元加盟店オーナーのひとり、川島稔さん(仮名)は次のように証言する。
「われわれ加盟店オーナーは、言うまでもなく皆、独立した事業主。本部とはフランチャイズ契約を結んではいますが、商品の仕入れは本部からするわけではなく、本部が推薦する販売元(あるいは製造供給元)と、直接行っています。」
「ところが支払いの段階になると、本部がこの間に割り込んできて、われわれが日々送金する売上金の中から、代金の支払いを『代行』するんです。そして本来なら店舗に送られてくるべき請求書も、『代行者』にすぎない本部にしか送付されない。私たちがこれを見ることは決してできないわけです」
また、川島さんらが本社から受け取る明細には、時折「仕入値引」という勘定科目が計上されていることがある。この科目は、本部の(一方的な)説明によれば、商品仕入に際して販売元が値引をしてくれた金額だということだが、コンビニのフランチャイズ契約問題に詳しい日本大学法学部名誉教授・北野弘久氏によれば、この呼び方はまったくおかしいものだと言う。
「企業会計上、仕入値引とはそれぞれの加盟店ごとの仕入事情に応じて、個別に行われるもの。本部がその個別の事情を加盟店に示すこともなく、一方的に『仕入値引』と読んでいるようなものを、仕入値引とは呼べない」(北野氏)
各加盟店は、仕入の値段が下がるわけだから、この仕入値引に対しても、その分余計にチャージを掛けられることになる。北野氏の見解では、これもまた重大な違法行為であるという。だが、そもそも本当に販売元、あるいは製造供給元が本当に値引きをしたのかどうかも、「請求書が送られてこない以上、加盟店には確認する術がない」(川島さん)と言うのだ。
請求書の受け渡しを拒み続けるセブン−イレブン本部は、「フランチャイズ業務の遂行上、請求書を管理する必要がある」という大義名分を掲げる。だがこれに関しても、前出の北野氏は次のように反論する。
「本当にそれが理由ならば、本部側はコピーをとればよいだけのこと。独立した事業主である加盟店オーナーに請求書を送らなくていい理由にはならない。何も不正をしていないなら、見せられない理由などないはず。見せられない以上、本部は加盟店に対し、ピンハネなどの不正をしていると疑われても、当然の結果だ」
本部が、フランチャイズ加盟店からの不当なピンハネ−。小売業界最大手にして、日本人ならば知らぬ者などいない大企業に、あってはならないことだ。実際にピンハネをしているのか、いないのか。セブン−イレブン本部がこれまで一方的に主張してきたように、「製造元からの請求額と、本部が加盟店に請求する金額の間に『差額』なるものは存在しない」というなら、まずは加盟店オーナーたちが購入した品物の請求書を公開し、オーナー側にある仕入日報(セブン−イレブンが請求書の代わりに送ってくる、支払いの記録)と照らし合わせてみればいい。
だが、現実にはセブン−イレブンは、ただこれだけのことを頑なに拒否し続けており、結果何人かのオーナーたちが、「自分が仕入れた品物の請求書を見たい」という、呆れるほど当然の権利を要求するために、法廷での争いを繰り返してきた。
(古川琢也+金曜日取材班、2008、株式会社金曜日)
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1.「本部一人勝ち」の金儲けのカラクリ
1−5.加盟店を転落させる常識外の会計制度(2)
この特殊会計は鈴木敏文・代表取締役会長が米国の本家・サウスランド社(のちに子会社化)から日本セブン−イレブンを持ち込んだ一九七三年に採用されたもので、いわば、セブン−イレブンの「発明品」。だが今や、ローソンやサークルKサンクスなどのコンビニチェーンもこぞって同じようなシステムを導入しており、店舗オーナーたちの生活苦の元凶になっている。
北野氏も、「このような利益分配では、よほど立地条件に恵まれた特別な店舗でない限り、オーナーとその家族が生活していくのは不可能。」と語る。オーナーでありながら、アルバイト並か、それにも満たない収入に陥る例、また自店の消費期限切れ弁当を常食し、辛うじて生活しているオーナー、そして廃業したオーナーも少なくない。
ところで、これほど特殊な会計方式を実施しておきながら、セブン−イレブンのフランチャイズ契約書では、チャージの算出法について、「売上総利益に対して掛かる」という、ごくごく一般的な意味の説明しかなされていない。この事実もまた、きわめて重大な問題を孕んでいる。
なぜなら、このような通り一遍の説明では、セブン−イレブン・チャージが、通常世間で使われ、常識として共有されている意味での「売上総利益」に掛かるという理解しかできないからだ。実際、取材に答えてくれた複数のオーナーも、契約当時そのように理解したと述べており、実際のやり方を知っていれば同社との契約は結ばなかったと語る人もいる。
そもそも北野氏によれば、このような契約は、「たとえそれが規約に明記されていようと、民法第九〇条(公序良俗)に違反し無効」だという。それを証明するかのように、同様のケースで加盟店オーナーらがローソン本部を訴えた裁判では、契約書にこの会計方式に関する明文特約があったにもかかわらず、ローソン側の説明義務違反を認め、原告側が勝訴(二〇〇一年・千葉地裁)している。
ならば、規約に明記せず契約を結ばせたセブン−イレブンのケースは、その悪質さにおいていっそう際立つ。ましてや同社の場合、一九七九年の東証二部上場前はローソン同様、この特殊な会計に関する条文を規約に明記。それが上場を機に、条文を外したという経緯もある。内容の後ろめたさを自覚していた可能性は強く、詐欺の疑いすら浮かぶものだ。
セブン−イレブンの「ロスチャージ」問題(=廃棄損をすべてオーナーに被らせるやり方)は、会計制度を巧妙に突いたわかりづらさからか、あるいは「巨大広告主」への配慮からか、これまでメディアから不相応に放置されてきた。だが最近、その悪質さが徐々に明らかになってきており、オーナーからの訴訟も起こされている。
(古川琢也+金曜日取材班、2008、株式会社金曜日)
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1−5.加盟店を転落させる常識外の会計制度(2)
この特殊会計は鈴木敏文・代表取締役会長が米国の本家・サウスランド社(のちに子会社化)から日本セブン−イレブンを持ち込んだ一九七三年に採用されたもので、いわば、セブン−イレブンの「発明品」。だが今や、ローソンやサークルKサンクスなどのコンビニチェーンもこぞって同じようなシステムを導入しており、店舗オーナーたちの生活苦の元凶になっている。
北野氏も、「このような利益分配では、よほど立地条件に恵まれた特別な店舗でない限り、オーナーとその家族が生活していくのは不可能。」と語る。オーナーでありながら、アルバイト並か、それにも満たない収入に陥る例、また自店の消費期限切れ弁当を常食し、辛うじて生活しているオーナー、そして廃業したオーナーも少なくない。
ところで、これほど特殊な会計方式を実施しておきながら、セブン−イレブンのフランチャイズ契約書では、チャージの算出法について、「売上総利益に対して掛かる」という、ごくごく一般的な意味の説明しかなされていない。この事実もまた、きわめて重大な問題を孕んでいる。
なぜなら、このような通り一遍の説明では、セブン−イレブン・チャージが、通常世間で使われ、常識として共有されている意味での「売上総利益」に掛かるという理解しかできないからだ。実際、取材に答えてくれた複数のオーナーも、契約当時そのように理解したと述べており、実際のやり方を知っていれば同社との契約は結ばなかったと語る人もいる。
そもそも北野氏によれば、このような契約は、「たとえそれが規約に明記されていようと、民法第九〇条(公序良俗)に違反し無効」だという。それを証明するかのように、同様のケースで加盟店オーナーらがローソン本部を訴えた裁判では、契約書にこの会計方式に関する明文特約があったにもかかわらず、ローソン側の説明義務違反を認め、原告側が勝訴(二〇〇一年・千葉地裁)している。
ならば、規約に明記せず契約を結ばせたセブン−イレブンのケースは、その悪質さにおいていっそう際立つ。ましてや同社の場合、一九七九年の東証二部上場前はローソン同様、この特殊な会計に関する条文を規約に明記。それが上場を機に、条文を外したという経緯もある。内容の後ろめたさを自覚していた可能性は強く、詐欺の疑いすら浮かぶものだ。
セブン−イレブンの「ロスチャージ」問題(=廃棄損をすべてオーナーに被らせるやり方)は、会計制度を巧妙に突いたわかりづらさからか、あるいは「巨大広告主」への配慮からか、これまでメディアから不相応に放置されてきた。だが最近、その悪質さが徐々に明らかになってきており、オーナーからの訴訟も起こされている。
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(「世界中に愛をワールドメイト」とは、深見東州氏がリーダーである宗教団体である。また、同氏は、本名である半田晴久の名で、「普遍的宗教性の現れ」とでもいうべき様々な社会福祉活動を行っている。)
1.「本部一人勝ち」の金儲けのカラクリ
1−5.加盟店を転落させる常識外の会計制度
コンビニ業界以外では決して通用しない、あまりに特殊な会計方式。その本質を、コンビニ・フランチャイズ制度の問題を二〇年にわたり追及してきた日本大学名誉教授・北野弘久氏は、次のように解説する。
「小売業では、通常の営業で生じる商品廃棄損などを、商売をしていく上で避けられないコストとして考える。よってこのコストは自動的に売上原価に組み込まれ、その上で売上総利益を計算するのが企業会計における常識。税務大学でもそう教えている。」
「ところがセブン−イレブンの損益計算では、本部は加盟店と特約を交わしているわけでもないのに商品廃棄損を売上原価に組み込まず、逆に売上原価(=販売商品の仕入れにかかった費用(すなわち「仕入」勘定))から差し引いている。こんな会計方式は、普通はあり得ない。」
(こういうことです。
仕入れ費用を売れた商品についてだけ再計算するのがセブン−イレブンのやり方。
つまり、捨てることになった商品、すなわち、廃棄損=捨てた商品の仕入れ費用、を全額オーナーがかぶる、ということです。)
(廃棄損の分の仕入れ費用を売上原価に含めないので、粗利が増えるわけです。その粗利に一定比率でかけ算をしてフランチャイズ料を決めるので、粗利が大きくなるほうが本部には都合が良い。そのため、廃棄損の分の仕入れ費用を本来の仕入れ費用から取り除いて再計算することで、結果としてオーナーに廃棄損の費用を全額被らせるわけです。)
解説-----------------------------------------------------------
コンビニ会計の仕組み
「原価60円のパンを10個仕入れ、100円の店頭価格で販売。うち8個が売れ、2個が消費期限切れで廃棄された場合」
※説明を簡便にするため、売上総利益にかかるチャージは50%とする。
〈コンビニの会計〉
『売上総利益』=売上高−純仕入れ費用
『純仕入れ費用』=仕入れ費用−廃棄された商品の仕入れ費用
『売上高』=100円(店頭価格)×8個(売れた数)=800円
『仕入れ費用』=60円(仕入れ価格)×10個(仕入れた個数)=600円
2個廃棄なので、廃棄損は60円×2個=120円
『純仕入れ費用』=600円−120円=480円
したがって売上総利益は、800円−480円=320円
(ここで、10個仕入れたにもかかわらず、本部側は8個の仕入れと売り上げがあったとして再計算しており、廃棄損の分をオーナー側にすべて押しつけることになる。)
この320円に対して50%のチャージがかかるので、320円×0.5=160円が本部の利益となる。
加盟店すなわちオーナー側は廃棄された2個分の仕入れ原価を、原価としてではなく営業費として負担するので
160円−(60円×2個)=160円−120円=40円
つまり、本部の利益 160円
加盟店の利益 40円
この40円から店のアルバイトなどの経費を払わないといけない。
〈一般会計〉
『売上総利益』=売上高−仕入れ費用
(売上高)=100円(店頭価格)×8個(売れた数)=800円
(売上原価)=60円(仕入れ価格)×10個(仕入れた数)=600円
よって売上総利益=800円−600円=200円
この200円に対して50%のチャージがかかるので、200円掛×0.5=100円
コンビニ本部が100円の利益、加盟店が100円の利益、と折半になる。
解説ここまで-----------------------------------------------
このように粗利益を増やして、セブン−イレブン・チャージのかけ算の結果が大きくなるよう、つまり必要以上のチャージを請求できるような計算方法を故意に採用しているわけだ。そしてこの計算方法が毎月繰り返されている。
(古川琢也+金曜日取材班、2008、株式会社金曜日)
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1.「本部一人勝ち」の金儲けのカラクリ
1−5.加盟店を転落させる常識外の会計制度
コンビニ業界以外では決して通用しない、あまりに特殊な会計方式。その本質を、コンビニ・フランチャイズ制度の問題を二〇年にわたり追及してきた日本大学名誉教授・北野弘久氏は、次のように解説する。
「小売業では、通常の営業で生じる商品廃棄損などを、商売をしていく上で避けられないコストとして考える。よってこのコストは自動的に売上原価に組み込まれ、その上で売上総利益を計算するのが企業会計における常識。税務大学でもそう教えている。」
「ところがセブン−イレブンの損益計算では、本部は加盟店と特約を交わしているわけでもないのに商品廃棄損を売上原価に組み込まず、逆に売上原価(=販売商品の仕入れにかかった費用(すなわち「仕入」勘定))から差し引いている。こんな会計方式は、普通はあり得ない。」
(こういうことです。
仕入れ費用を売れた商品についてだけ再計算するのがセブン−イレブンのやり方。
つまり、捨てることになった商品、すなわち、廃棄損=捨てた商品の仕入れ費用、を全額オーナーがかぶる、ということです。)
(廃棄損の分の仕入れ費用を売上原価に含めないので、粗利が増えるわけです。その粗利に一定比率でかけ算をしてフランチャイズ料を決めるので、粗利が大きくなるほうが本部には都合が良い。そのため、廃棄損の分の仕入れ費用を本来の仕入れ費用から取り除いて再計算することで、結果としてオーナーに廃棄損の費用を全額被らせるわけです。)
解説-----------------------------------------------------------
コンビニ会計の仕組み
「原価60円のパンを10個仕入れ、100円の店頭価格で販売。うち8個が売れ、2個が消費期限切れで廃棄された場合」
※説明を簡便にするため、売上総利益にかかるチャージは50%とする。
〈コンビニの会計〉
『売上総利益』=売上高−純仕入れ費用
『純仕入れ費用』=仕入れ費用−廃棄された商品の仕入れ費用
『売上高』=100円(店頭価格)×8個(売れた数)=800円
『仕入れ費用』=60円(仕入れ価格)×10個(仕入れた個数)=600円
2個廃棄なので、廃棄損は60円×2個=120円
『純仕入れ費用』=600円−120円=480円
したがって売上総利益は、800円−480円=320円
(ここで、10個仕入れたにもかかわらず、本部側は8個の仕入れと売り上げがあったとして再計算しており、廃棄損の分をオーナー側にすべて押しつけることになる。)
この320円に対して50%のチャージがかかるので、320円×0.5=160円が本部の利益となる。
加盟店すなわちオーナー側は廃棄された2個分の仕入れ原価を、原価としてではなく営業費として負担するので
160円−(60円×2個)=160円−120円=40円
つまり、本部の利益 160円
加盟店の利益 40円
この40円から店のアルバイトなどの経費を払わないといけない。
〈一般会計〉
『売上総利益』=売上高−仕入れ費用
(売上高)=100円(店頭価格)×8個(売れた数)=800円
(売上原価)=60円(仕入れ価格)×10個(仕入れた数)=600円
よって売上総利益=800円−600円=200円
この200円に対して50%のチャージがかかるので、200円掛×0.5=100円
コンビニ本部が100円の利益、加盟店が100円の利益、と折半になる。
解説ここまで-----------------------------------------------
このように粗利益を増やして、セブン−イレブン・チャージのかけ算の結果が大きくなるよう、つまり必要以上のチャージを請求できるような計算方法を故意に採用しているわけだ。そしてこの計算方法が毎月繰り返されている。
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1.「本部一人勝ち」の金儲けのカラクリ
1−4.過剰発注にこだわる理由
それにしても、なぜセブン−イレブン本部は、加盟店の値下げ販売をこうも妨害するのか?この理由は、どうやら実際に値下げに踏み切った、他の加盟店の例に手がかりがある。
店舗オーナーの笹島隆明さん(仮名)は、近年自店の傍に競合店ができたことから売り上げがダウン。とはいえ「ここで仕入れを減らす(品揃えの質を落とす)のは、お客様に対して迷惑」と考え、経営を立て直すには値下げ販売しかないと決断した。今、当時とその後を比べ、値下げ販売の効果をこう分析する。
「競合店が乱立して売り上げが三割減り、やむを得ずデイリー商品の値下げ販売を始めました。でも、最終的に見せに残る利益は前年並みです。かりにやっていなかったら、今頃恐ろしい額の赤字を抱え込んでいたはずです。商売は過去を否定し、時流に適した革新的行動によってお客様に支持されます。前例主義の公務員的考え方では生き残れません。」
売り上げが減ったとはいえ、競争を生き残るだけの利益を維持し、何より廃棄によるムダがなくなった−。小売業者である以上、本来なら加盟店のみならず、本部にしても喜ばしいはず。ところがセブン−イレブンをはじめとするコンビニ業界に関しては事情が違う。そしてこの「事情」こそ、同社の理念「加盟店との共存共栄」が、言葉だけの欺瞞に過ぎないと疑わせる最たる点でもあるのだ。前出の大久保さんは指摘する。
「うちや知り合いのオーナーの例を聞く限り、コンビニから出る一日の廃棄は、弁当に換算して平均約三〇個。これを全国のセブン−イレブン一万二〇〇〇店に直すと、三六万食分。金額にするとほぼ一億八〇〇〇万円分が、毎日ひたすら廃棄されている計算です。でも本部にしてみれば、たとえこれが三億円だろうと痛くも痒くもありません。むしろわれわれ加盟店が廃棄ロスなど気にせずに、そのまま大量の仕入れを続けてくれたほうが儲かる。というのも、
本部は廃棄リスクを負わないから。
値下げ販売をさせずに、つねに過剰発注に誘導することで本部が最大の利益を上げられるような会計システムを用いているのです。」
(古川琢也+金曜日取材班、2008、株式会社金曜日)
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1−4.過剰発注にこだわる理由
それにしても、なぜセブン−イレブン本部は、加盟店の値下げ販売をこうも妨害するのか?この理由は、どうやら実際に値下げに踏み切った、他の加盟店の例に手がかりがある。
店舗オーナーの笹島隆明さん(仮名)は、近年自店の傍に競合店ができたことから売り上げがダウン。とはいえ「ここで仕入れを減らす(品揃えの質を落とす)のは、お客様に対して迷惑」と考え、経営を立て直すには値下げ販売しかないと決断した。今、当時とその後を比べ、値下げ販売の効果をこう分析する。
「競合店が乱立して売り上げが三割減り、やむを得ずデイリー商品の値下げ販売を始めました。でも、最終的に見せに残る利益は前年並みです。かりにやっていなかったら、今頃恐ろしい額の赤字を抱え込んでいたはずです。商売は過去を否定し、時流に適した革新的行動によってお客様に支持されます。前例主義の公務員的考え方では生き残れません。」
売り上げが減ったとはいえ、競争を生き残るだけの利益を維持し、何より廃棄によるムダがなくなった−。小売業者である以上、本来なら加盟店のみならず、本部にしても喜ばしいはず。ところがセブン−イレブンをはじめとするコンビニ業界に関しては事情が違う。そしてこの「事情」こそ、同社の理念「加盟店との共存共栄」が、言葉だけの欺瞞に過ぎないと疑わせる最たる点でもあるのだ。前出の大久保さんは指摘する。
「うちや知り合いのオーナーの例を聞く限り、コンビニから出る一日の廃棄は、弁当に換算して平均約三〇個。これを全国のセブン−イレブン一万二〇〇〇店に直すと、三六万食分。金額にするとほぼ一億八〇〇〇万円分が、毎日ひたすら廃棄されている計算です。でも本部にしてみれば、たとえこれが三億円だろうと痛くも痒くもありません。むしろわれわれ加盟店が廃棄ロスなど気にせずに、そのまま大量の仕入れを続けてくれたほうが儲かる。というのも、
本部は廃棄リスクを負わないから。
値下げ販売をさせずに、つねに過剰発注に誘導することで本部が最大の利益を上げられるような会計システムを用いているのです。」
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1−3.値下げを実行した店主への脅し、圧力
そもそも、値下げ販売についての本部と加盟店の契約はどうなっているのか。
加盟店がセブン−イレブン本部と交わす契約書の第二九条には、
「乙(加盟店)は甲(本部)の開示した標準小売価格で販売することを強制されるものではない」
と謳う一文が明記されている。少なくとも規約上、加盟店が値下げ販売をしてはいけない根拠はない。にもかかわらず、本部は値下げ販売を望む多くの加盟店オーナーに対し、
「二四時間営業」を口実に門前払いをしているという。
なかには小売価格を強制されないことに気づき、値下げ販売に踏み切る店舗オーナーもいる。だが本部は彼らに暴言やいやがらせ行為を繰り返し、値下げ販売をやめるようにさまざまな圧力を加えているのだ。
嫌がらせを受けた一人が、小松真人さん(仮名)だ。小松さんが本部に対して値下げ販売の意向を伝えたところ、本部は「値下げは禁止されている」など、あからさまな嘘の説明をしてきた。
いい加減な対応に業を煮やした小松さんが値下げ販売を断行すると、今度はやめるよう執拗な「要請」をしてきた。小松さんは粘った結果、なんとか値下げ販売を「公認」と認めさせたが、それ以降、本部は「警告文」を送りつけてくるなど、小松さんへの圧力を俄然強めたという。
「担当者はすごく威圧的な態度に変わりましたね。店内で怒鳴られたこともあります。結局、本部は値下げ販売を認めたくないし、広めたくもない。だから、さまざまな圧力でオーナーを追い詰め、『もう値下げはやめます』と言わせようとしている。一方で、何も知らないオーナーにはデタラメな説明をして値下げ販売の事実を隠そうとします」
公正取引委員会では独占禁止法の運用基準の中で、「本部が加盟者に対して、正当な理由がないのに、品質が急速に低下する商品党の見切り販売を制限し、売れ残りとして廃棄することを余儀なくされること」を、「優越的地位の乱用」と位置づけ禁止している。(「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」より)。また本誌の取材に対しても、「販売価格設定は自由であるべき。値下げに対して本部が何らかの圧力を加えたり、条件をつけるような場合には、『再販価格の拘束』に該当します」(公取委広報)との見解を示している。
当のセブン&アイ・ホールディングスにも値下げ販売に関する公式見解を尋ねたところ、花火などの一部季節商品を除き、加盟店オーナーらには原則、「本部の推奨価格でやっていきましょう」と「推奨している」(広報センター)との回答だった。
(古川琢也+金曜日取材班、2008、株式会社金曜日)
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1−3.値下げを実行した店主への脅し、圧力
そもそも、値下げ販売についての本部と加盟店の契約はどうなっているのか。
加盟店がセブン−イレブン本部と交わす契約書の第二九条には、
「乙(加盟店)は甲(本部)の開示した標準小売価格で販売することを強制されるものではない」
と謳う一文が明記されている。少なくとも規約上、加盟店が値下げ販売をしてはいけない根拠はない。にもかかわらず、本部は値下げ販売を望む多くの加盟店オーナーに対し、
「二四時間営業」を口実に門前払いをしているという。
なかには小売価格を強制されないことに気づき、値下げ販売に踏み切る店舗オーナーもいる。だが本部は彼らに暴言やいやがらせ行為を繰り返し、値下げ販売をやめるようにさまざまな圧力を加えているのだ。
嫌がらせを受けた一人が、小松真人さん(仮名)だ。小松さんが本部に対して値下げ販売の意向を伝えたところ、本部は「値下げは禁止されている」など、あからさまな嘘の説明をしてきた。
いい加減な対応に業を煮やした小松さんが値下げ販売を断行すると、今度はやめるよう執拗な「要請」をしてきた。小松さんは粘った結果、なんとか値下げ販売を「公認」と認めさせたが、それ以降、本部は「警告文」を送りつけてくるなど、小松さんへの圧力を俄然強めたという。
「担当者はすごく威圧的な態度に変わりましたね。店内で怒鳴られたこともあります。結局、本部は値下げ販売を認めたくないし、広めたくもない。だから、さまざまな圧力でオーナーを追い詰め、『もう値下げはやめます』と言わせようとしている。一方で、何も知らないオーナーにはデタラメな説明をして値下げ販売の事実を隠そうとします」
公正取引委員会では独占禁止法の運用基準の中で、「本部が加盟者に対して、正当な理由がないのに、品質が急速に低下する商品党の見切り販売を制限し、売れ残りとして廃棄することを余儀なくされること」を、「優越的地位の乱用」と位置づけ禁止している。(「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方について」より)。また本誌の取材に対しても、「販売価格設定は自由であるべき。値下げに対して本部が何らかの圧力を加えたり、条件をつけるような場合には、『再販価格の拘束』に該当します」(公取委広報)との見解を示している。
当のセブン&アイ・ホールディングスにも値下げ販売に関する公式見解を尋ねたところ、花火などの一部季節商品を除き、加盟店オーナーらには原則、「本部の推奨価格でやっていきましょう」と「推奨している」(広報センター)との回答だった。
(古川琢也+金曜日取材班、2008、株式会社金曜日)
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