2010年4月25日 11時26分 更新:4月25日 22時31分
乗客106人と運転士が死亡し、562人が負傷した兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故から、25日で5年がたった。事故現場や追悼慰霊式会場では、発生時刻の午前9時18分に合わせ、鎮魂の祈りがささげられた。愛する人を失った心の傷、事故で負った体の傷が癒えない人は多い。この間、JR西日本の歴代4社長は業務上過失致死傷罪で起訴されており、事故の真相解明は新たな局面に入った。
JR西日本の追悼慰霊式は同日午前、同市総合文化センターで始まり、遺族480人と負傷者や国の関係者ら、計1415人が参列した。
前原誠司国土交通相は「最愛の肉親を突然失った遺族の悲しみを思い、痛惜の念を禁じ得ない。事故を風化させることなく、公共交通機関の安全対策に取り組んでいく」と追悼のことばを述べた。
JR西日本の佐々木隆之社長は、国交省航空・鉄道事故調査委員会(当時)の最終調査報告書案が公表前にJR西側に漏えいした問題について、「経営トップによるコンプライアンス(法令順守)違反で、被害者の心情を深く傷つけた。許されることではない」と改めて謝罪した。
一方、起訴されたJR西日本の山崎正夫前社長と、強制起訴された南谷昌二郎、垣内剛の両元社長は、佐々木社長ら幹部とともに午前6時50分ごろ、事故現場の献花台に到着。沈痛な面持ちで黙とうした後、献花した。井手正敬元社長は、この日も公の場に姿を見せなかった。【小坂剛志、牧野宏美】