森野「いいスイング」

　Ｍには笑顔が戻り、Ｗには悲壮感が消えた。今季初のＢＭＷアーチ、森野に和田、この２人にとってはスランプ脱出を告げるビッグアーチだ。

　「久しぶりにいいスイングができましたね。（状態は）よくなっています。また我慢するときはくるんでしょうけど」

　自ら“梅雨明け”を宣言したのは森野だ。２点リードの８回２死、横浜・寺原の直球を振り抜いた打球は大きな弧を描いてセンターバックスクリーン右に吸い込まれた。４回に３試合連続安打となる右前打を放つと６回には同点犠飛、さらにトドメの９号ソロ。１８日の巨人戦まで５試合連続ノーヒットだったが、もう心配はいらない。

　もう１人の悩める男・和田にとっても大きい一発が刻まれたのは森野のソロが飛び出した直後。１ストライクからの２球目、スライダーをはじき返すと打球は左翼席に消えた。１６打席ぶりの安打は１８号ソロ。巨人３連戦で１本も打てなかったウップンを晴らした。「だいぶ迷惑をかけましたからね。またあしたですよ」。こう話したが安打は最高の良薬。ＢＭＷ頼みの今季、大きな意味を持つ浜松の夜だった。　（兼田康次）