中日−横浜 6回裏2死二塁、左中間に勝ち越しの2ランを放ち、ガッツポーズのブランコ=浜松球場で(榎戸直紀撮影)
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竜党はこれを待ってた。中日は22日の横浜戦(浜松)で、6回に5番のトニ・ブランコ内野手(29)がここ5試合で4発目となる決勝17号2ランを放つと、8回には3番・森野将彦内野手(31)が9号、4番・和田一浩外野手(38)が18号とソロ連発。昨年7月28日の巨人戦(東京ドーム)以来3度目のBMWアーチ競演で勝率を5割に戻した。
誇らしげにブランコは右腕を突き上げた。そしてバットを高々と放り投げる。同点に追いつき、なお2死二塁の6回。横浜先発の三浦の初球を振り抜くと、打球は一瞬で左中間スタンドの中段に突き刺さった。決勝の17号2ランになった。
「打ったのはカットボール。真っ芯でとらえることができました」
最近5試合で4本塁打と絶好調のブランコ。だが今季は本塁打、打点の2冠王に輝いた昨季とは一転、苦しい時期が続いていた。打率は2割5分台にまで落ち、10日の楽天戦(Kスタ宮城)からは4番の座を和田に譲った。「打順は監督が決めること」とだけ話していたが、結果を残せない悔しさは募っていたに違いない。体のキレや調子を取り戻すため、さまざまな工夫を施してきた。
本拠地の試合後、1時間以上もマシン相手に打ち込むのは日常茶飯事。オーバー気味だった体重対策として、お気に入りだった自宅近くの焼き肉店に行く回数も減らした。努力は結果となって表れてきた。「神様のおかげで打つことができました」。チームは最近1週間で3勝しているが、いずれもブランコが決勝弾を放っている。
豪快な一発で打線に勢いをつけ、8回の森野、和田の連続弾を呼び込んだ。クリーンアップのホームランそろい踏みは09年7月28日の巨人戦(東京ドーム)以来で通算3度目。3人ともに打点を挙げた試合はこれで、クライマックスシリーズも含めて22連勝。チームの借金は再びなくなった。
地方球場との相性の良さを証明する結果にもなった。通算10試合で37打数15安打で打率4割5厘、6本塁打。「コンタクトを心がけるようにしています」と秘けつを明かした。23日の横浜戦が行われる豊橋も地方球場。昨季のような頼もしさはすっかり取り戻した。自身の調子とともに、チームも上昇気流に乗せてみせる。 (清水裕介)
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