人気アイドルグループ・AKB48のメンバーと握手できる「握手券」を偽造し、ファンに渡したとして、警視庁少年事件課は22日までに、偽造有価証券交付の疑いで、東京都練馬区の無職大井邦彦容疑者(25)と、埼玉県川口市の高校3年生の少年(17)を逮捕した。大井容疑者は同容疑を認めるとともに、約2千枚を偽造したとも供述しており、同課は有価証券偽造容疑でも立件する方針。AKBをめぐる「握手券」の偽造は後を絶たず、ファンの暴走に歯止めが利かない状況だ。
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大井容疑者の逮捕容疑は昨年11月10日に、偽造した握手券にメンバーの名前入りスタンプを押し、渋谷区の路上でファン仲間の男子生徒に1枚約1500円で15枚を渡した疑い。男子生徒には、大井容疑者から入手した同じ枚数の偽造握手券を、別のファンの少年に1500円前後で渡した疑いがもたれている。
握手券はCDの特典として同封されていたもので、大井容疑者は11月上旬に印刷業者に依頼し、約2千枚を偽造。印刷関係者によると、1万円程度の費用で印刷できるという。
しかし、11月14日に開催されたイベントでは、会場名の「東京ビッグサイト」が「ビック」となる誤植もあり、即座にスタッフに見破られ、あえなく“ご用”。1枚も使用されなかったという。
大井容疑者は調べに対し「(昨年7月の)パリ公演に行った際、ファンの扱いが悪く、改善しないスタッフの責任者を困らせようと思った」と容疑を認めている。
握手券の偽造はほかにも相次いでおり、レコード会社は今月13日の握手会では、1枚あたり数十円余分に費用がかかる特製ホログラム付き握手券を製作して対応。数十万円を投じて、再発防止を徹底している。
AKBの熱狂的なファンの暴走は昨年から続発。今年3月にはドラマの撮影現場に侵入してメンバーの衣装などを盗難していた事件が発覚し、6月にはメンバーあてに脅迫文とヒゲそりの刃を送った男が逮捕された。