口蹄疫(こうていえき)で宮崎県に派遣された本県職員(獣医師、畜産技師)の報告会が22日、大分市内で開かれ、殺処分された牛豚の埋却地について、口蹄疫対策特別措置法施行に伴い農水省が定めた要綱では農家が購入した場合は補助対象にならないことが報告された。公有地で補完する埋設計画を進める県は「本県でも何より埋却地確保が大切。まだ固めていない自治体は早急にお願いしたい」と呼びかけた。
今月18日に「口蹄疫まん延防止対策事業費負担金交付要綱」として、各都道府県に通知された。埋却にまつわる補助については、人件費、掘削・運搬費、シート代などと並び、土地の賃借料10アールあたり最大1万6000円、環境対策費同6000円と定められているが、購入については見送られた。
同省動物衛生課は「検討はしたが、国財政への圧迫と、個人財産に補助する問題点を勘案した判断」とし、国の補助について「何が対象になるのかは詳細に詰めておらず、ご迷惑をかけた」としている。
本県では県内発生に備えて各農家が埋却地をおおむね確保。しかし、自前の土地で対応できるのは対象農家の7割程度にとどまり、残り3割の多くは大規模農家で、購入の前提で話を進めてきた場合では、計画変更を余儀なくされる。
報告会で、森下幸生・県農林水産部審議監が「宮崎の27万5000頭を超える殺処分数は、本県の全家畜22万7000頭を既に超えている」とし、参加した市町職員らに対し、早急な公有地確保を求めた。また、県家畜衛生飼料室は「耕作放棄地なら賃借も成立するだろうが、大量の牛豚が何年間も埋められるため、賃借なら話がまとまらないケースも出てくるのではないか」と懸念している。【梅山崇】
毎日新聞 2010年6月23日 地方版