大関・琴光喜関(34)=佐渡ケ嶽部屋=が野球賭博の口止め料名目で現金を脅し取られた事件で、警視庁が恐喝容疑で逮捕状を取った阿武松(おうのまつ)部屋の現役力士の兄である元力士(38)が、同部屋の元幕下力士(34)を窓口に野球賭博をしていたことが関係者への取材で分かった。負けが続き、胴元への支払いが滞っていたという。警視庁は、元力士が自身の返済のために、1月に琴光喜関から約350万円を脅し取った後、3月の春場所中も脅し続けたとみて、1億数千万円の恐喝未遂容疑でも立件する方針。
関係者によると、元力士は琴光喜関と同様に、阿武松部屋の元幕下力士を胴元との仲介役に野球賭博をしていたという。琴光喜関が約500万円の勝ち金をこの仲介役に求めたところ、元力士から受け取るよう指示された。琴光喜関が弟の力士を通じて支払いを要求すると、元力士は昨年12月から「賭博を暴露されたくなければ現金を支払え」などと脅すようになったという。
対処に窮した琴光喜関は同じ野球賭博グループの大嶽親方(42)=元関脇・貴闘力=らに相談。大嶽親方の立ち会いの下、春場所中に大阪市内で話し合ったが、決着は付かなかったという。
元力士はそれまで琴光喜関と面識はなかったが、仲介役らを通じ、長期にわたる琴光喜関の野球賭博を把握していた可能性が高く、警視庁はさらに多額の口止め料を手に入れるために、意図的に春場所中も脅したとみている。【酒井祥宏、川崎桂吾】
毎日新聞 2010年6月23日 15時02分