同僚「人の多い時間・場所狙う…理不尽」　マツダ工場１１人殺傷

　広島市南区のマツダ宇品工場の現場では一夜明けた２３日、改めて容疑者への怒りがうずまいた。派遣社員として働く中で社会への不満を募らせた秋葉原殺傷事件の加藤智大被告（２７）＝公判中＝と自身を重ねるような供述をしている引寺（ひきじ）利明容疑者（４２）。被害者の同僚らは「あまりにも理不尽」などと話し、ひきつった表情で出社した。

　マツダ宇品工場でこの日朝から、いつも通りに操業。引寺容疑者が最初に人をはねた東正門では、多くの人たちが報道各社の問いかけにはノーコメントで、足早に敷地内へと入っていった。

　引寺容疑者が犯行に及んだ午前７時４０分ごろには出勤ラッシュがピークを迎え、工場前の路上は従業員らであふれた。男性従業員（４７）は「何日か勤めたら、この時間帯が一番人が多いことに気づくはず」と話す。この東正門は出勤時間帯、他の門の２〜３倍の出入りがあるという。

　別の男性従業員（４０）は「秋葉原の事件に影響されて多くの関係のない人を巻き込んだのなら、理解しがたい理不尽な犯行だ」と怒り心頭。男性社員（２０）は「今日は、普段の朝よりも重苦しく感じる」と話していた。