1997年に明らかになった米軍秘密文書によれば、41年の真珠湾攻撃に当時の米国陸海軍の幹部は大きな衝撃を受け、「現状では、日本軍によるハワイ全島占領や米西海岸攻撃も可能」と極めて悲観的な戦況分析をしていた。
 スターク海軍作戦部長が同年12月11日付でマーシャル陸軍参謀総長(いずれも当時)に送った書簡によると、同部長は真珠湾攻撃を分析し、「米戦艦と巡洋艦の多くが無力化された今、中部太平洋に強大な海軍力を展開できる日本軍は、攻勢に集中できる」と指摘。この段階で日本軍が海戦を挑むなら、米艦隊全滅の事態も起こり得るとした。
 ただ、日本軍自体にハワイ占領や米国本土を狙う発想はなく、資源の確保に向けて南方への進出に全力を挙げていた。ルーズベルト米大統領は対日宣戦布告を議会に求めた演説で、真珠湾攻撃を「屈辱にまみれた日」だとして国民を鼓舞。米軍幹部の悲観論も開戦当初だけだったとされる。