空母機動部隊を編成し、米太平洋艦隊の本拠地を航空戦力でたたくというハワイ攻撃作戦は、山本五十六連合艦隊司令長官の発案だったとされる。
 当時、各国海軍は艦隊同士の砲撃戦で勝敗を決する戦いを「常道」と考え、航空部隊は補助的戦力としか位置付けていなかった。強力な航空打撃力を備えた空母機動部隊を編成するという発想を持っていたのも日本と米国だけだったが、米国にも日本がいきなりハワイを襲う可能性を考える者はほとんどいなかった。しかも、太平洋艦隊の根拠地であるオアフ島の真珠湾は水深が12〜14メートルしかなく、投下後いったん数十メートルの海面下に沈んでから目標に向かう航空魚雷での攻撃は困難と思われていた。
 日本海軍は魚雷の沈下を抑える安定装置を開発する一方、猛訓練で搭乗員の技量を高め、世界で初めて浅深度での航空魚雷攻撃を可能にした。