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【社会】

思惑絡まる杉並区長選 元夫婦が対決 「師弟」は決別

2010年6月23日 13時49分

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 「師弟の決別」「元夫婦対決」−。7月4日告示、同11日投票で参院選とダブル選となる東京都杉並区長選で、既に出馬表明している候補予定者を取り巻く人間関係が話題になっている。山田宏前区長の辞職に伴う選挙で、減税自治体構想など独自政策を進めてきた山田区政の継承が争点の一つとされるが、こうした政策の陰で、有力政治家同士の思惑や駆け引きが見え隠れする。

 最初に出馬表明した元金融庁課長補佐の藤岡隆雄氏(33)は長年、山田氏主宰の勉強会へ参加し、「弟のような存在」(山田氏)だった。五月、藤岡氏は山田氏率いる日本創新党から参院選東京選挙区への出馬を発表したが、五月末に山田氏自身が同選挙区に出馬する意向を表明。

 藤岡氏は一転、山田区政批判を始め区長選出馬を決定し、みんなの党に推薦を要請した。参院選との相乗効果を狙い区長選の候補者を探していたみんなの党にも渡りに船で、渡辺喜美代表は山田氏と、地元選出の自民党衆院議員石原伸晃氏に携帯電話で藤岡氏推薦を報告。山田氏は当初、「藤岡さんの決断にエールを送る」と余裕を示していたが、渡辺氏の電話に絶句したという。

 六月十日夜、眼科医千葉奈緒子氏(49)が区内で行われた自民党の集会で登壇し、石原氏が見守る中、区長選出馬を宣言した。そのころ、千葉氏の元夫で民主党の前都議会議長田中良氏(49)は、区内で若手経営者らと飲食を共にしながら立候補の決意を固めていた。元妻の出馬に、田中氏は「受けて立つ」と覚悟を決めたという。

 夕刊紙には「泥沼の夫婦対決」の見出しが躍ったが、千葉氏は「なに、これー」と笑い飛ばしただけだった。

 そもそも千葉氏擁立に動いたのは、山田氏とその有力支援者の地元総合病院の理事長。ある自民党関係者は「山田氏と田中氏は長年反目し合っており、田中氏が区長になれば、山田区政が批判の的になることは必至。山田氏は田中氏の立候補自体を阻止しようと、千葉氏を擁立したのでは」と推測する。

 山田氏は石原氏陣営に千葉氏支持を要請した。田中氏は一九九〇年の衆院選で石原氏と対決(落選)したが、昨年の都議選で約四万五千票でトップ当選するなど区内の実力者の一人だ。山田氏と親しい知人は「田中氏が区長となって影響力を拡大するのは、石原氏陣営にとっても歓迎すべき事態ではないはずだ」とみている。

 杉並区長選には塾講師土田三盛氏(60)も出馬の意向を示している。

(東京新聞)

 

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