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弁護側「苦しい論告」と批判、郵便不正元局長求刑


大阪地裁に入る村木厚子被告(22日午後、大阪市北区で)

 郵便不正に絡んだ偽の証明書発行事件の論告求刑で検察側は22日、厚生労働省元局長・村木厚子被告(54)に懲役1年6月を求刑した。しかし、共犯とされる厚労省元係長・上村(かみむら)勉被告(40)(公判中)らの供述調書が証拠採用されなかった影響で、村木被告が証明書発行を指示した場面などを盛り込むことはできず、弁護側は「わずかに残った証拠でストーリーをつないだ苦しい論告」と批判した。

 論告は90ページ。3人の検事が交代で午後1時半から3時間半をかけて読み上げた。

 捜査段階で村木被告の関与を認めながら、公判では「単独で証明書を作成した」と証言した上村被告。態度を一変させた理由について、検察側は論告で「(村木被告が関与した)組織犯罪と認めると、ノンキャリアの同僚にも影響が出ると考え、供述を翻した」とした。

 さらに、共犯の1人で、自称障害者団体「(りん)の会」元会長・倉沢邦夫被告(74)についても「(無罪主張の)自らにとって不利になるのに村木被告から証明書を受け取った事実は認めている」と指摘。「証明書は茶色の厚労省の封筒の上に載せられていたとの証言内容は非常に具体的で、迫真性がある。体験した者でなければ語り得ない」と述べた。

 一方、村木被告が、倉沢被告の目の前で日本郵政公社に「近く証明書が発行される」と電話をかけたとされる場面や、証明書発行後に書類の体裁を整えようとした上村被告に、村木被告が「もう忘れて下さい」と言ったとされる部分は、調書が証拠採用されなかったため、一切触れられなかった。

 それでも大阪地検特捜部で事件の主任検事を務め、公判にも立ち会った前田恒彦検事は「村木被告の指示で証明書が発行されたことに、疑問の余地はない」と言い切った。

 閉廷後、大阪司法記者クラブで記者会見した主任弁護人の弘中惇一郎弁護士は「ヨレヨレの証拠で支えた論告だった」と酷評し、最終弁論については「楽しみにして下さい」と余裕を見せた。村木被告は閉廷後、「求刑を聞いても実感がない。裁判所はわかってくれていると思います」などと弁護人に語っていたという。

2010年6月23日  読売新聞)
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