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障害者郵便割引不正:村木元局長に1年6月求刑 検察論告、証拠不足から推測目立つ

 郵便料金割引制度を悪用した郵便不正事件で、障害者団体と認める偽証明書の作成を部下に指示したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)に対する論告求刑公判が22日、大阪地裁(横田信之裁判長)であった。検察側は懲役1年6月を求刑した。

 検察側は論告で「村木被告の指示は優に認められ、証明は十分」と主張した。ただ、横田裁判長が「村木被告の指示で偽証明書を作成した」と述べた厚労省元係長、上村勉被告(40)の捜査段階の供述調書など主要な証拠を採用しなかったため、証拠不足から推測が目立つ内容になった。

 村木被告は一貫して「一切覚えがない」と無罪を主張している。

 論告はまず、「村木被告から偽証明書を手渡された」とする「凜(りん)の会」(解散)代表の倉沢邦夫被告(74)らの公判証言を根拠に、「村木被告が指示をせず、上村被告が独断で(偽証明書を)作成するとは考えられない」と主張。指示があったとうかがわせる理由として、「有力国会議員の口添えがあった案件であり、厚労省が組織的に対応していた」と述べた。

 さらに証拠採用された一部の調書を根拠に加え、「公判証言と合わせて、村木被告の共謀はより一層明らかだ」と強調した。

 村木被告の公判では、上村被告をはじめ出廷した証人が次々と村木被告の関与を認めた捜査段階の供述調書を覆し、「調書はでっち上げ」などと大阪地検特捜部を批判。取り調べた検察官を含め計18人が出廷したが、村木被告の事件への関与を裏付ける証言は出なかった。

 公判は29日にある弁護側の最終弁論で結審し、9月10日前後に判決が言い渡される見通し。【日野行介】

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 ■ことば

 ◇郵便不正・偽証明書事件

 実体のない障害者団体「凜(りん)の会」に対して郵便料金割引制度の適用を認める偽証明書を作成したとして、厚生労働省元局長の村木厚子被告(54)ら4人が虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた。偽証明書によって、家電量販会社などのダイレクトメールが不正に格安発送された。公判では、偽証明書を作成した厚労省元係長の上村勉被告(40)が捜査段階の調書を覆し、村木被告の指示を否定。大阪地裁は4月、同会代表の倉沢邦夫被告(74)に対し、同罪について無罪判決を言い渡した。さらに5月、「取り調べに問題ある」として上村被告らの調書を却下。村木被告についても無罪の公算が大きくなっている。

毎日新聞 2010年6月23日 東京朝刊

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