名古屋場所に向けて荷物出しをする武蔵川部屋の関係者=東京都荒川区(撮影・開出 牧)
角界を揺るがす賭博問題で、元大関の幕内雅山(32)=武蔵川=が19日と20日に警視庁の事情聴取を受け、野球賭博への関与を認めていたとフジテレビ系の「FNNスーパーニュース」などが20日、報じた。これまで雅山は、花札など仲間うちの賭博をしていたことを協会に報告したとされているが、より悪質な野球賭博に関与していたことが事実なら、師匠の武蔵川理事長(62)=元横綱三重ノ海=の責任が問われる。
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武蔵川政権を揺るがす大打撃になるのだろうか。雅山の賭博関与は18日に発覚した。当初は花札、マージャンなど仲間内によるものとみられていたが、警視庁の事情聴取で、雅山が野球賭博への関与を認めたと複数の報道があった。事実なら、理事長が辞任に追い込まれかねない事態だ。
協会は雅山の賭博問題について詳細を発表しておらず、上申書も仲間内の賭博として提出したとみられていた。もし「野球賭博」報道が事実であれば、事態はさらに深刻化する。協会の賭博問題を担当する弁護士も19日の時点で「(野球賭博は)胴元が何なのかということで、意味が違う」と指摘している。
賭博に関与した力士のリストは、協会内では執行部と呼ばれる在勤の親方衆しか把握していない。ある幹部は「執行部の周りで、まったく(賭博をした協会員が)でないのは不自然という意見もある。理事会では全部を明らかにしてほしい」と憤る。
師匠の武蔵川理事長は雅山の賭博問題について、公式なコメントはしていない。21日の理事会では、外部の人材による調査委員会も活動を開始する。疑惑を払しょくするためにも、理事長はすべてを明らかにすることが求められる。
(2010年6月20日)