マツダ工場敷地内で車暴走、１人死亡１０人けが

広島南署に運ばれた容疑者が暴走させ多数をはねた車

　２２日午前７時３５分ごろ、広島市南区のマツダ宇品工場の東正門から男が乗用車で侵入して暴走し、出勤途中のマツダ社員ら男性１１人を７か所で次々とはねた。社員浜田博志さん（３９）＝広島県東広島市＝が病院で死亡し、２人が重傷、８人が軽傷を負った。

　車は逃走したが、広島県警は隣接する同県府中町の山中で「わしがやった」と自ら１１０番した男を発見。殺人未遂容疑などで派遣社員引寺利明容疑者（４２）＝広島市＝を現行犯逮捕した。同容疑者はマツダの元期間従業員。県警によると「４月にクビになり会社に恨みがあった」「むしゃくしゃして人をはねた。殺すつもりだった」と供述しているというが、マツダは「一身上の都合で退職した」としている。

　引寺容疑者は刃渡り約１８センチの包丁を所持し「工場で振り回してやろうと思った」とも供述している。県警は２２日、広島南署に捜査本部を設置し自宅アパートを捜索。現場にブレーキ痕がないことから、強い殺意で無差別に社員を襲い続けたとみて、今後、殺人容疑に切り替えて調べる。

　逮捕容疑は２２日午前７時３５分ごろ、マツダ工場内で１１人をはねて殺害しようとした疑い。また同県府中町の逮捕場所で包丁を所持した疑い。

　マツダによると、引寺容疑者は今年３月２５日に入社し４月１日にプラスチック課に配属、同１４日に退社した。実質勤務は８日間で、トラブルはなかったとしている。

　県警によると、引寺容疑者は青いファミリアを運転し、宇品工場内でまず２人をはねて南進、突き当たりで２人をはねて左折、さらに２か所で３人をはねた。

　その後、専用の橋を渡り北東側の府中町にある本社工場に移動。北進してからＵターンするように南へ向きを変え、亡くなった浜田さんを含む４人を３か所で次々とはねながら敷地を周回し、北門から外に出た。

　現場は広島湾近くの工場や倉庫が立ち並ぶ一角。宇品工場は「デミオ」などを生産するマツダの国内主力工場。

（2010年6月22日22時32分  スポーツ報知）

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