1軍に合流した堂上剛(右)は、弟の堂上直と一緒に練習へ参加した=浜松球場で(榎戸直紀撮影)
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中日・堂上剛裕外野手(25)が21日、横浜戦(22日・浜松)に向けて浜松球場で練習した1軍に合流した。昇格すればすでに1軍に上がっている弟・直倫内野手(21)とプロ入り初の兄弟同時1軍となる。中日では1990年の仁村兄弟(薫外野手、徹内野手)以来。また落合監督は堂上直の打撃大改造を明言。この堂上兄弟が停滞する落合竜の起爆剤になるか。
◆直倫「2人で結果を残したいです」
ついに最高の舞台で一緒に戦える。この日、浜松球場で練習した1軍に合流したのは堂上のお兄ちゃん。22日の昇格は間違いなし。剛裕と直倫、堂上兄弟が苦しむ落合竜の力になる時がきた。
「いいときに呼んでもらえたと思います。状態はいいです。このチャンスを生かしたいですね。兄弟? そうですね。初めてですから。頑張っていきたいです」
今季2度目の昇格となる堂上剛が、力を込めた。吉報が届いたのは前夜。すぐさま、元中日投手の父・照さん(59)に報告すると、「『お酒を飲まない日だったけど、きょうは飲む』って。喜んでいました」。最高の父の日のプレゼントになった。
兄の剛裕が04年入団で弟の直倫が07年入団。昨年までともに1軍の出場経験はあったが、同時1軍はなかった。1月に三重県で行う自主トレを行い、いつも仲がいい兄弟にとって念願の同時1軍だった。
「きのう(兄から)電話をもらいました。うれしかった。でも上がっただけで喜んでばかりもいられない。2人で結果を残したいですね」
弟の直倫はこう気合を入れた。堂上兄弟の夢の1つが1軍でともにスタメンに名を連ねること。弟の直倫は現状ではスタメン出場が濃厚だが、剛裕はまずは左の代打として結果を残すことが必要か。これから弟も兄も刺激しあっていくことになる。
「よくいろんな方から兄弟で活躍してほしい、と言われます。それをかなえたいです」と剛裕。チームは巨人に負け越したこともあって借金1。地元出身でファンの期待も大きい堂上兄弟が新風を吹き込む。 (兼田康次)
◆剛祐「いいときに呼んでもらえた」
プロ4年目にして初めてスタメンの機会を得ている堂上直。その打撃を見た落合監督は「一からつくり直す」と、打撃改造を決断した。
「ファームで『打っている』というから(1軍に)上げてみたら、せっかくキャンプで取り組んできたことがまったくできていなかった」
今春の沖縄キャンプ。堂上直は1軍組に抜てきされ、直々に打撃指導を受けた。それから約4カ月。1軍に呼ばれたが沖縄でまかれた種は残念ながら芽を出していなかった。
「バッティングって、これをやっちゃいけない、ということがいくつかあるんだ」
落合監督は指を折り、数えながら話した。この世界に足を踏み入れて32年。幾千もの成功と淘汰(とうた)を見てきた。そこに共通する禁じ手が堂上直に見えた。
「それをやっているのなら直さなきゃいけない。それがなくなったからといって、打てるという保証はないんだけど。ただ、今の打ち方では絶対に打てない。だったら、これまでと180度違うくらい、一からつくり直した方がいい」
大手術はすでに始まっている。16日の1軍昇格初戦の後、居残りで技術指導の第1歩が始まったという。そこから4試合。確かな手応えをつかんだ堂上直は「できるだけ正しい打ち方で、より確率を上げられるように意識してやっています。今は少しずつしっくりくるようになってきてます」と話す。
急造の二塁について、落合監督は「器用だよ」と、及第点を与えた。まずは守備から。そこをクリアしているだけに、チャンスはこれからももらえそうだ。
「ウチの連中、誰かが助けてくれるか? 誰も助けてはくれない」
いつも落合監督は言う。ヒントとチャンスは与えられるが、モノにするかしないかは本人次第。堂上直は今、その分岐点にいる。 (生駒泰大)
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