22日午前7時40分ごろ、広島市南区仁保沖町、マツダ宇品工場の警備員から「工場内で複数の人がひき逃げされた」と110番があった。広島南署によると、工場内などで男が乗った乗用車に男性たち計11人が次々にはねられ、同社従業員の浜田博志さん(39)=東広島市高屋町=が死亡し、ほかの10人も負傷した。
広島南署は約50分後、現場から北東4・6キロとなる広島県府中町の団地にいた男を殺人未遂と銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕した。同署によると、男は広島市安佐南区上安2丁目、元マツダ期間従業員の引寺利明容疑者(42)。
同署の調べでは、引寺容疑者は22日午前7時35分ごろ、宇品工場の東正門前の歩道を歩いていた男性2人をはねた後、東正門から工場敷地内に進入。同工場や北側の本社工場の敷地内を歩いていた9人を次々とはねて逃走した疑い。さらに約18センチの包丁1本を車内に所持していた疑い。
同署によると、引寺容疑者は容疑を認め、「精神的にむしゃくしゃして殺すつもりで車でひいた」と供述しているという。逃走後、府中町の団地から自らの携帯電話で110番し、駆け付けた警察官に取り押さえられた。その際、警察官に対し「マツダに恨みがあった」と話したという。
今年4月に退職したと供述している。
県警と広島市消防局によると、被害に遭った11人のうち9人が府中町のマツダ病院に搬送され、2人が広島市中区と安芸区の病院で治療を受けている。20代の男性の治療にあたった病院の男性院長によると、男性は「歩いていたら、いきなり車が暴走してきて足をはねられた」と話していたという。
広島市南区の本社宇品工場は、府中町の本社ビルから猿猴川を挟んだ西南2・3キロに位置する。第一、第二の完成車組立工場があり、東正門、東一門などの出入り口がある。
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【写真説明】11人が車にはねられ、1人が死亡したマツダ本社の宇品工場東正門付近の事件現場(22日午前9時30分、広島市南区仁保沖町)
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