広島市議会(定数55)は22日、本会議を開き、旧市民球場(中区)廃止条例案の廃止日付を8月1日から1カ月延長する修正案を賛成多数で可決した。市は2013年春までの緑広場を中心にした跡地整備の完成を目指し、年内にも解体に着手する方針。1957年に完成し、半世紀余り広島東洋カープの本拠地として市民に親しまれてきた戦後復興のシンボルが姿を消す。
市は、3月の市議会定例会に旧球場の廃止条例案を提案。秋葉忠利市長の政治姿勢に批判的な会派などが「市民合意が不十分」として否決する一方、球場の解体費を含む当初予算は認め「ねじれた状態」になっていた。また、球場解体を前提にした市の跡地利用計画への反対運動も起き、事態は混迷してきた。
修正案は、市の跡地利用計画に反対してきた自民新政クラブが提出した。谷口修幹事長は「夏休み期間中、子どもたちに利用してもらいたい」と理由を説明した。反対討論した政和クラブの山田春男幹事長は「市民合意がないまま球場を廃止する条例案には納得できない」と批判した。
採決では、自民新政クラブ、市民連合、公明党、市民市政クラブ、共産党、爽志会、薫風会の計40人が賛成した。新保守クラブの3人は退席した。
修正案の可決を受け、市は球場の備品をオークションなどで売り払う準備に入る。秋葉市長は「廃止に理解いただけたが、施行期日の延期は残念」とのコメントを出した。
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