マツダ工場暴走事件で逮捕された引寺利明容疑者(42)の知人や期間社員当時の同僚たちは、おとなしい印象からはかけ離れた凶行に、驚きを広げた。
事件発生約6時間前の22日午前1時半まで一緒にいた知人男性は「期間社員時代とその後に続いた個人的なトラブルを打ち明けられ、3時間ほど話し込んだ」と証言する。
男性によると、引寺容疑者が「秋葉原(無差別殺傷事件)のような事件を起こしそうだ」と漏らしたので、「関係ない人に危害を加えるのはおかしい」と諭したという。「納得した様子だったし、まさかそこまで思い詰めているとは想像できなかった。気分のむらだと思った」と唇をかんだ。
3月に研修を一緒に受けた期間社員男性は「プラスチック製のバンパーの仕上げ作業をする職場で働いていたが、スピードについていけない、体力的にきついとこぼしていた」と振り返った。「職場はいじめや個人攻撃にも気を使っている。会社に恨みを持つ理由が見当たらない」と首をかしげた。
引寺容疑者は広島市内の高校を卒業後、広島県府中町にあるマツダの協力部品メーカーに入社。試作品をつくる部署に約6年半勤め、1992年に依願退職した。人事責任者は「在籍時に問題を起こした記録はない」と話した。
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