マツダ工場暴走事件を受け、山内孝社長は22日正午から広島県府中町の本社で記者会見し、被害者に哀悼の意を示した。時折、目をつぶって下を向き無念さをにじませながら、事件の真相解明に全面協力する考えを強調した。
事件発生から約4時間20分後、山内社長は人事担当の黒沢幸治常務執行役員たちと厳しい表情で会見場に姿を現した。冒頭、被害に遭った従業員と家族に向け「哀悼の意を申し上げたいと思います」と深く一礼した。
引寺利明容疑者が広島県警に「マツダに恨みがあった」と話している点について、山内社長は「退職の理由も含めて社内でまだ特定できていない。警察の捜査、真相の解明に全面的に協力していきたい」と話した。容疑者が元期間社員である点については「まだ事件の因果関係が分からない段階なのでコメントは控えたい。真相解明に努力したい」とした。
黒沢常務執行役員は事件の概要を説明。車に乗った引寺容疑者が警備員の制止を無視して東正門から構内に進入し、北門までの経路を約8分で通過したことなどを明らかにした。
黒沢常務執行役員は「社内でこのような痛ましい事件が起きてしまったことを大変遺憾に思う。状況の解明を待って、社内で取り得る対策も鋭意検討していきたい」と述べた。
藤賀猛人事本部長の説明によると、引寺容疑者はプラスチック課でバンパーの製造に当たっていた。仕事内容については「成形機械への材料の投入や部品の組み付け、バンパーの運搬」という。引寺容疑者が勤務した8日間はいずれも午前8時15分に始まる昼の勤務だったとしている。
会見は約40分間。山内社長は会見に先立って本社近くのマツダ病院を訪れ、負傷者を見舞った。
工場の稼働は事件後に停止したが、同日午前9時ごろ再開した。
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【写真説明】記者会見で、真相解明に全面協力する考えを示す山内社長(左)と黒沢常務執行役員
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