2010年06月21日(月)
保護したが…”帰宅”×(ダメ) 専門家「外来種、生態系を破壊」 安易なペット飼育に警鐘
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落書きされたカメ(写真上)が保護された際、多くの見物人が写真撮影し、大きな騒動になったことを物語った=甲府・舞鶴城公園(16日) |
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甲府・舞鶴城公園の堀で見つかった、何者かに「カメデス」と落書きされたカメ。もともと堀に生息しない外来種で、飼育に困った人が捨てた可能性がある。保護した県は、落書きされた文字が自然に消える甲羅の脱皮を待って堀に戻す予定だが、専門家は「行政が生態系の破壊につながる外来種の生息を認めることになる」と異論を唱える。市民が同じような行為をして、堀が「カメの捨て場」になってしまう恐れがあるからだ。「生態系が変わると、元通りになるまで時間がかかる」と、今回の騒動を安易なペット飼育に警鐘を鳴らす機会にしてほしいという意見も出ている。 舞鶴城公園の堀には、落書きされたカメを含めて北米原産の「ミシシッピアカミミガメ」が20匹程度生息している。飼育の規制はないが、環境省が生態系に悪影響を与える可能性があるとして、要注意外来生物に指定している。 このカメは「ミドリガメ」として縁日やペットショップで販売されている。甲府市相生3丁目のペットショップ「イシハラペットワールド」では1匹約400円で、月に50〜100匹ほど売れるという。 年間10匹程度、大きく成長したカメの引き取り要請があり、店員は「カメの体長は購入時約4センチだが、3年ほどで20〜30センチに成長する。水槽で世話ができなくなり、困った人が多い」と話す。落書きされたカメの体長も約30センチで「誰かがペットを放した可能性が高い」とみている。 落書きされたカメに対し、堀を訪れた見物人からは「かわいそう」「早く消してあげてほしい」との声が上がった。その一方で「カメは外来種だから、駆除した方がいい」という意見が、公園を管理する県に20件近く寄せられた。 カメの生態に詳しい、やまなし淡水生物研究会の窪田茂会長も、県がカメの甲羅の落書きが消えた後、堀に戻すことに反対だ。「生態系を守ろうと県民に呼び掛ける立場の県の対応としては誤り。かわいそうかもしれないが駆除すべきだ」と指摘する。 ペットを捨てる人の中には「自然に返すことはいい」と間違った認識を持っている人がいるという。窪田会長は「ペットが捨てられて一度生態系が壊れると、元に戻すには相当の時間がかかることを分かってほしい」と話している。 これに対し、堀に戻す考えの県都市計画課は「人工的に造った堀には外来種のほか、在来種も生息している。近隣河川を含めて、今のところ生態系への影響はない」と説明する。動植物の保護業務を担当する県みどり自然課も「カメは駆除対象になっておらず、堀のカメを駆除することは考えていない」との見解だ。 今回の騒動を、ペットの扱い方や外来生物について、多くの人が考えるきっかけになってほしいと願う人もいる。ペットの飼い主を指導している日本愛玩動物協会県支部の飯島英恵事務局長は「ただ『かわいい』と思ってペットを飼うのではなく、動物の命を預かる者として最後まで責任を持って飼う気持ちを持ってもらいたい」と呼び掛けている。
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