AV女優の蒼井そらの訪中で見えた中国ネット業界の苦しさ

　中国網日本語版（チャイナネット）によると、日本のAV女優である蒼井そらさんが、ネットゲームのイメージキャラクターとして上海に姿を現した。蒼井そらさんの知名度は、インターネットやマイクロブログ（中国版ツイッター）などにより、AV女優の中では飛びぬけて高く、中国のネット利用者にとって近所の女性のような親しみがあるという。

　蒼井さんは「中国にもファンがいることは知っていたが、マイクロブログを始めてから多くのファンがいることが分かった。でも自分が中国で話題になるとは全く思わなかった」と話す。

　あるネットメディアは、「訪中した蒼井そら」という見出しで、仕事の関係で以前には上海市や広州市なども訪れたことがあると報道。以前、他の日本のAV女優もこうしたイベントに参加したことがあるが、いつも控えめでメディアの取材も受けなかったことから、今回の蒼井さん参加のイベントは、かつてなく積極的でオープンだった。多くのネット企業は非常に興奮している様子だが、それはネット企業の困難な状況と関係がある。

　ネットゲームの企業が苦境に陥っていることは言うまでもない。ネットサイト猫撲（mop）のようなディスカッションサイトは、多くのネット利用者を引きつけるために、魅惑的な話題や写真を掲載し、非常に人気があるように見える。

　しかし中国のネットは、ますます厳しく整備が行われる中、さらなる進展は望めない。新浪網（sina）のようなサイトでも制約状態で、広告料金の頻繁な値上げもあまり現実的ではなく、かつての利潤を上げる方法もほとんど使い果した。つまりはイノベーションが必要だ。

　こうしたネット企業は優秀な心理学者であり、みんなの心理的なニーズを承知し、法律の隙間を抜けることも知っている。中国の法律ではポルノの販売や伝達は禁止されているが、AV女優をイベントに招待するのは、法律に違反するほどではないだろう。サイトやゲームに成人映画は並べていないが、中国の男性に無限の想像の空間を与える。法律は私たちに何を我慢しろというのか。ネット企業もそう考えているのではないかと思う。クリック数とお金をかせぎ、法律を弄んで一挙両得だ。

　今まで誰も通ったことがない道では、もしかしたら「AV中国」の積極的な流れが起きる可能性もある。それは蒼井さんがこうでいいのであれば、なぜ他の人はダメなのかという形で。その時に中国のネット内や外は、合法的なAVの世界になるかもしれない。これは喜ぶべきか悲しむべきか。中国の法律はとても気まずいように思えるのだが。（編集担当：米原裕子）