マツダ宇品工場車暴走事件 死亡した社員の妻「大変ショックで言葉になりません」
広島市南区のマツダの工場で、元従業員の男が社員などを次々にはねて、11人が死傷した事件で、突然、夫の命を奪われた妻が、その胸中を明かした。
22日午前、車で11人を次々にはね、殺人未遂などの容疑で現行犯逮捕されたマツダの元期間従業員・引寺利明容疑者(42)。
両腕を警察官につかまれ警察署に入る引寺容疑者は、黒いシャツを着て、黒縁のメガネをかけていた。
事件は、日勤の従業員が多く出勤する時間帯に発生した。
男の運転する車は、門のあたりで2人をはね、そこから中に侵入し、さらに数人をはねて逃走を続けたという。
事件が起きたのは、広島市南区にある自動車メーカー「マツダ」の宇品工場。
22日午前7時40分ごろ、マツダ・ファミリアに乗った引寺容疑者は、警備員の制止を無視し、門から侵入した。
敷地内を1周するかのように走り、11人を次々にはねたあと、およそ2km離れた別の門から逃走した。
はねられた11人のうち、社員の浜田博志さん(39)が死亡し、10人がけがをして、うち2人が重傷となっている。
死亡した浜田さんには、10カ月の女の子がいるということで、妻の彩さんは「夫が突然このような事件に遭い、大変ショックで言葉になりません」と話した。
引寺容疑者はその後、2km離れた路上に車を止め、自ら110番通報した。
車には、刃渡り18cmの包丁を積んでいた。
引寺容疑者は動機について、「マツダを2カ月前に首になり、恨みがあった。精神的にむしゃくしゃして人をはねた。殺すつもりでやった」などと話しているという。
しかしマツダ側は、会見で「退職は引寺容疑者が願い出たものだった」と説明した。
3月下旬に入社し、わずか8日間の勤務だったという。
マツダは会見で「就労中、特別誰かとトラブルになったり、あるいは異様な事象というものは見受けられなかったと」と話した。
引寺容疑者は高校卒業後、マツダの下請け会社で働いていたという。
近所の人は「普通のサラリーマンなんですよ。まじめな方ですよ、本当に」と話した。
引寺容疑者の父親は「申し訳ないなということは、十分わたしも感じているんですよ」と話した。
(06/22 18:50 テレビ新広島)