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【日本の面影】ノンフィクション作家・工藤美代子 外国人参政権の危険性

2010.6.22 03:01
このニュースのトピックス菅首相

 日本は海に囲まれた島国だ。だから外国からの侵入は難しい。ヨーロッパ諸国のように容易に他国の侵略を受けなかった歴史には、そうした地理的条件があったからだと中学生のときの授業で教わった。たしかに江戸時代の繁栄は海に守られてのことだった。

 その海が今、いささか危なくなっている。このままでは国が壊れる危険がある。

 いや、実は危機は江戸中期から幕末にもあった。オホーツク海から北太平洋にかけてをロシアが、南太平洋にはイギリスやアメリカが開港を口実に侵略を狙っていた。

 当時すでに林子平という国防の先覚者が『三国通覧図説』や『海国兵談』などの著書で警鐘を鳴らしていた。しかし、幕府はなかなか彼の意見をいれなかった。

 このころ、イギリス人のジェームス・クックはオーストラリア、ニュージーランドに進出し、日本もその視野に入っていた。ロシアも南下を着々と始めつつあった。

 紆余(うよ)曲折を経て、子平の実践的な調査報告は認められ、いったんは危機を回避したが、やがてはペリー提督率いる黒船が日本を開国の機に追い込んだのは周知の通りである。

 それから150年の月日が流れ、今ふたたび日本の海の領有権は危険にさらされているのではないだろうか。

 先般、鳩山由紀夫前首相が辞任直前に全国知事会議で、こう語った。

 「(尖閣諸島)帰属問題に関しては日本と中国との当事者会議でしっかり議論して、結論を見いだしてもらいたい」とまるで日本固有の領土であることを知らないような口ぶりだ。さらに石原慎太郎都知事が「(尖閣諸島で)日中衝突したら日米安保は発動されるのか」と問いただすと、「米国に確かめる必要がある」としか答えられない。要するに日本のトップとしての責任感は皆無だった。わが国の海域を死守する心意気がなくして、国土が守れないのはいうまでもない。

 中国籍の軍艦が領海侵犯をしても、大きな声をあげようとしない民主党政権である。北朝鮮魚雷で多数の犠牲者を出した韓国の哨戒艦撃沈事件が、自国の海でも起こりかねないのだという認識を、どこまで持っているのだろうか。実際にミサイルが何発か飛んでこなければ、永久に目が覚めそうにもない。

 「日本列島は日本人だけの所有物じゃないんですからね」と過去に何度も発言してきた前首相の方針がそっくり引き継がれている菅内閣のもくろみは、「外国人地方参政権」の早期の立法化にあると思われる。

 かつての民主党の同法推進派議員による勉強会には重要閣僚たる岡田克也、小沢鋭仁、川端達夫、仙谷由人、千葉景子各氏らが積極的に参加していた。

 もしも外国人の地方参政権を認めてしまえば、尖閣諸島に限らず、対馬や竹島など日本を取り巻く全域が、きわめて危険な環境にさらされる。

 国家の存亡にかかわる法案である以上、永住外国人の地方参政権については参院選の争点として国民にぜひ問うて欲しい。同時に参政権授与の結果がもたらす事態を見据える想像力も国民に求められている。(くどう みよこ)

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