飯塚病院の主催で5月15日に福岡県飯塚市で開かれた第130回患者塾。テーマは「何科を受診したらいいですか」。寄せられた質問に対し、さまざまなケースに応じた上手な受診方法について医師が説明した。
◆ひどい痛みが続く
<福岡市の45歳男性> ものすごく胸が痛くなって急患センターで心電図を取ったりしたのですが、全く異常ありませんでした。医師は「異常ないですね」と言うのですが、あまりにも痛みが続くことを訴えたら別の医師が来て、胃カメラをしたら胃かいようと判明しました。こういう時は何科を受診したらいいんでしょうか。
仲野さん 時間外だったら急患センターでいいと思います。通常の時間内ならば総合内科に相談し、強い痛みが継続する時は大病院であればその日のうちに答えを出すシステムがあります。同じ状態でかかりつけ医に来られたら、救急車に乗せてでも大病院に行ってもらいます。
伊藤さん 「どうもないですね」と言われても、痛い場合は「でもやっぱり痛い。ほかに何かあるんじゃないですか」と、遠慮せず言ったほうがいい。言われることで、医師も「そういう可能性もあるな」と気づくことがあります。自分の病気ですから自分でも医師をサポートしていくことが大事です。
◆膵臓の異状
<大分市の38歳女性> 腰と胸の間辺りの背中の鈍い痛みが続いています。整形外科では異常ないと言われました。胃カメラでは軽い胃炎の状態と言われました。腸の内視鏡は大丈夫でした。外科で膵(すい)臓の検査をしたところ、アミラーゼが少し高く、CA19-9という腫瘍(しゅよう)マーカーが微妙な値と言われました。担当の外科医は「定期的に検査をしましょう」と言いますが、「どこで診てもらうのがいいですか」と尋ねると「消化器外科でもかかりつけ医でもいい」と言います。どうしたらいいですか。
伊藤さん 背中にある臓器の異常を見つけ出すには、大きな装置を備えた総合病院で検査をするしかありません。MRI(磁気共鳴画像化装置)やPET(陽電子断層撮影装置)などを備えた病院で検査していく以外に早期発見は難しいでしょう。血液検査は近くの医師にしてもらえばいい。痛みが続く場合は定期的にCT検査を受けたり、大きな装置を備えた病院で診てもらってください。
◆小児科
小野村さん 「信頼関係のできた小児科のかかりつけ医がいても、15歳過ぎたら内科になるみたいですが、ぜんそくやアレルギーの問題を引き続き診てもらうことはできないのですか」という質問を受けるのですが。
津田さん 基本的には小児科は15歳未満となっていますが、本人が嫌でなければかかりつけ医に受診していいと思います。ただ中学生のころから小児科には行きたがらなくなる子供が多いのも事実です。
<鹿児島市の68歳男性> 痔(じ)は肛(こう)門科にかかるべきですか、それとも消化器科や消化器外科ですか。
平田さん 肛門科にかかるのがベストだと思います。肛門に指を入れて診断する直腸指診という方法があります。指を入れると大きなしこりは触れることができます。痔と思っていたら直腸がんが見つかったケースもありますので意を決してお尻を診てもらってください。実際に診てもらうのは専門の肛門科か消化器外科がいいと思います。
新聞社にはさまざまな電話がかかってくる。結構多いのが「よろず相談」のたぐいだ。
民事のトラブルや個人的な悩みなどは記事にはしにくい。だから「新聞社では何とも……」とお断りする。それでも行政や民間の相談窓口を調べて告げるようにしている。「新聞社ならば何とかしてくれるかも」と頼りにしてくれている以上、むげにはできない。
同じように「大きな病院ならば」と思っている人たちは多いだろう。医療の役割分担でできること、できないことは当然あるが、まずそんな思いを感じ取る姿勢が大事だと思う。【佐藤敬一】
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田中二郎さん=飯塚病院院長(福岡県飯塚市、心臓血管外科)▽花岡夏子さん=同副院長・ふれあいセンター所長▽松浦尚志さん=飯塚医師会副会長・松浦医院(同市、内科・小児科)▽伊藤重彦さん=北九州市立八幡病院(外科)▽仲野祐輔さん=八屋第一診療所院長(福岡県豊前市、外科)▽津田文史朗さん=つだ小児科アレルギー科医院(同県水巻町)▽平田敬治さん=福岡山王病院(福岡市、外科)
▼司会・小野村健太郎さん=おのむら医院(福岡県芦屋町、内科・小児科)
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〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2010年6月22日 地方版