2010年06月17日(木) テーマ:法(勉強や教育)

条文解釈と、問題提起

 今回は、間違っているから批判してやろう、というのではなく、ちょっと疑問点を補足しておこうかなあ、と。


 【法律学の基礎】 答案の問題提起と条文:教えるとは希望を語ること 学ぶとは誠実を胸に刻むこと



 繰り返しになるが、今回は特段、批判は出てこないので、それを楽しみにしているのなら、読まない方が。。。




 本題に入ると、上記記事で書かれている内容は、条文解釈の際に問題提起が必要だということ。具体的には、次の3つの場合に、条文解釈が必要となるような問題が生じるとされる。


1.そもそも直接適用できる条文が無い


2.条文はあるが文言の意義が不明確


3.条文があり、直接適用もできるが、結論がどう考えても不合理



 問題提起をすべきであることや、上記場合に典型的に解釈問題が生じるのは、その通りだと思う。というか、わたしも、たぶん、単純化して教えるなら、こうなる…、と思う(断言はしづらいが)。




 ただ、ちょっと補足すれば、まず、1の場合って、典型的には大きく2つを想定すればよいのかなあ、と。

 一つは、類推適用の場合。まあ、この場合は、条文解釈の問題ですわな。

 もう一つは、一般条項を適用する場合。この場合というのは、典型的な論点(信義則による契約締結上の過失など)をのぞけば、ほとんど出てこない。というのは、一般条項を使って処理するのは、法律家の思考法として筋が悪いから。こういったことを考えて、テスト問題をつくるしね。


 このように範囲が限定されるわけだけど、ここで考えないといけないより根本的問題として、「なぜ直接適用できるような条文がないところについて、法解釈を行わねばならないのか」という点がある気がする。というのは、直接適用できるような条文がなければ、それは法的な判断の対象ではないことを、法律が宣言している、と見ることも可能だから(たとえば、契約締結上の過失の問題については、不法行為の問題のほかに、そもそも条文にない責任を認める必要はないとする説があるわけで…)。


 で、これを打破しようと思うと、結局、上記2や3の助けを借りざるを得ないのかなあ、と思ってしまう。

 たとえば、類推適用の場合だと、文言の拡張解釈に近いわけだから、法律の文言に操作可能性があるという点で、2に近づく。一般条項解釈は、要件・効果ともに不明確なのだから、なおさら2が当てはまる。

 また、直接適用できる条文がないことが不当であると言えなければ、一般条項解釈や類推解釈の必要性は導けないと思う。だから、結局、3が必要となる。


 ただ、まあ、2や3まで説明してられないから、典型的な論点ブロックをおぼえて、問題の具体的事実に引っかけつつ、1の状況が存在することを示すことで、満足するしかないのだろう、そう思う。

 でも、上述したように、最低限、3が示せないと、どうして類推や一般条項利用のような「ムリ」をした解釈をしなければならないのかが、導きにくいとは思う。特に、一般条項って、あまり使うなといわれるからねえ。




 このほか、2と3の関係も、考えてみると、よくわからない感がある。



 たとえば、うーん、2は当てはまらないが、3には当てはまる、なんて例があるかなあ?

 個人的に思いついたのは、危険負担における所有者危険負担主義の修正。ただし、条文の文言を無視したようなこのような修正解釈の例は多くない。


 逆に、2は当てはまるが、3は当てはまらない例は、ある程度考えられる。特に、複数の解釈が提示されていて、その優劣が利益衡量上、つけがたい場合。


 でも、多くの条文解釈の例って、2と3が組み合わさっているんじゃなかろうか。というか、3は、2における解釈幅の少ない場合に、この制限を打破する、モメントとして働いているんじゃないかなあ。



 議論があっちこっちに飛んだけど、2と3との関係を考えると、結局、学生レベルで答案を書く際には2をメインで考えておけばいい気がする。3だけを持ち出さざるを得ないという場面は、かなり例外的というか。




 これらをまとめると、1はあまり独立した理由としては役立たず(というか、「条文がないので問題となる」とだけ書かれても…)、2と3を場合によって使い分けるのが、問題提起の通常の型なんじゃないかな、と思う。で、条文の範囲内で解決できそうな場合は、通常、2を使い、一般条項や類推、条文の修正を行うようないわば例外的場合に、3をメインとする、こんな感じかなあ、と。

 まあ、厳密に法学方法論をやり出せば、異論もあるだろうけど、学生向けに簡易版の問題提起を教えるなら、これでいいんじゃね。 




 ねっ!!別に批判は出てこなかったでしょ。胸を張るようなコトじゃないけどねっ♪

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