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「会社に恨み」 マツダ工場内で次々人はねる、1人死亡

2010年6月22日

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写真関係者らがはねられたマツダ宇品工場の東正門前=22日午前10時すぎ、広島市南区仁保沖町、加藤美帆撮影

地図   

 22日午前7時45分ごろ、広島市南区仁保沖(にほおき)町のマツダ宇品(うじな)工場の敷地内で、車が次々と人をはねたと同社関係者から119番通報があった。救急隊員が駆けつけると男性11人がけがをしており、病院に搬送。このうち同社社員の浜田博志さん(39)が間もなく死亡した。他に1人が意識不明の重体という。

 約20分後、「わしがやった。腹が立った。(広島市安芸区の)畑賀(はたか)峠にいるから来い」と男の声で110番通報があり、広島県警の捜査員が付近を捜索したところ、広島県府中町瀬戸ハイム4丁目の町道にサイドミラーなどが壊れた乗用車が止まっているのを発見。車内に包丁(刃渡り約18センチ)があり、運転席にいた広島市安佐南区上安2丁目、自称派遣社員引寺(ひきじ)利明容疑者(42)を殺人未遂と銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕した。

 引寺容疑者は「マツダを2カ月前にくびになり、恨みがあった。精神的にむしゃくしゃして人をはねた。殺すつもりでやった」などと話し、容疑を認めているという。

 県警によると、引寺容疑者は22日午前7時35分ごろ、宇品工場の東正門前の路上で乗用車で2人をはねたうえ工場敷地内に進入し、さらに9人を次々とはねた疑いが持たれている。被害に遭ったのはいずれもマツダの関係者とみられている。引寺容疑者が運転していたのはマツダ製の青いファミリアだった。

 事件後、引寺容疑者はそのまま車で北門から逃走。車内にあった包丁については「工場内で車を止めて、振り回そうと思った」と話しているという。

 マツダによると、引寺容疑者は6カ月間の期間従業員として今年3月に採用。4月1日に本社工場に配属されたが、同14日に「一身上の都合」として退職したという。

 マツダの本社所在地は広島県府中町で、隣接する広島市南区にも敷地が広がっている。その中にある宇品工場は面積約169万平方メートル。同社の主力工場としてデミオやロードスターなどの主要車種を生産しており、2009年度は約42万台を出荷した。04年末には火災により生産ラインの一部が約4カ月にわたってストップした。

   ◇

 マツダの山内孝社長は22日正午すぎ、広島県府中町の本社で記者会見し、「亡くなった浜田さんには心より冥福を申し上げます。負傷した社員10人の一刻も早い回復を願っています」と伏し目がちに話した。負傷者の多くは本社に隣接したマツダ病院で治療を受けている。

 黒沢幸治・常務執行役員の説明では、逮捕された引寺利明容疑者は「期間工」として、今年3月25日に6カ月の契約で採用した。4月1日に本社工場(広島市南区など)のプラスチック工場でバンパーの成形職場に配属された。14日に引寺容疑者から「一身上の都合」との文書で退職を告げてきたので、受理した。この間に実際に勤務したのは8日間だったという。

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