みなさんこんにちは。
お待たせいたしましたが、今シーズンの結果について、僕の感想を今回のブログメッセージとしてお伝えしたいと思います。
まずは、応援のお便りをお寄せいただいた皆様に、感謝したいと思います。みなさんからの数々の、メッセージありがとうございます。特に、今シーズンは、自分が1998年に長野オリンピックでご披露した滑りが、それ以降オリンピックの度に、皆様に思い出して語っていただける程、心にお留めいただいていたということが分かり、本当に感激しています。
日本の代表選手の皆さん(mao, miki, miss suzuki, daisuke, oda, そして、kozukaくん)立派な成績を収められて、おつかれさまでした。特に、ワールドのタイトルを手にした、浅田選手、高橋選手、本当におめでとうございます。彼らは本当にすばらしい演技をしました。シーズンの最後にようやく、彼等にふさわしい評価がなされたことで、今までの努力も報われたのではないかと、僕も大変満足しています。
こちらは、すでに雑誌にも寄せておりますが、昨今のスケートへの僕の意見です。
正直言うと、現在のこの採点ルールは、スケート選手という名のアスリート達の演技には対応できていないと考えています。
この採点ルールで点数を出すには、さらに難度の高くそして新しい演技が要求されています。結果として、点数のことを気にするがために、多くの選手が、判で押したような同じような技術の演技にとどまり、またリスクを冒す事をしなくなるのです。リスクを冒しても、たいした点には結びつかない。選手個人個人の独自性などを芸術的に表現することなど、全くの不可能になってしまいました。
技術点で他の選手より勝ることのできない場合、構成点で勝負することも可能だと思います。(例として、男子ではライザチェク選手、女子ではキムヨナ選手)
しかし、スケートにおいて、何が一番観衆にとって明白で、また純粋に技術として評価できるのかと言ったら、それは、やっぱりジャンプということになるのではないかと思います。僕は、やはり、一番難しい技に挑戦して、そして一番成功した者が、表彰台でトップに登るべきだと。少なくとも、技術の点でトップになるか、もしくはショートプログラムでトップの点をとるべきと思います。僕に言わせれば、今回のオリンピックでの男子、女子そしてアイスダンスでの点差は、どうにも納得できる説明がつかない。フリープログラムの前に、勝負が決まってしまうなどということはあってはならないと思います。
ショートでキム選手と真央選手についた点差は、あまりにも大きかった。あの点差では、僕が真央なら、フリーを滑る価値があるのかないのか疑問に思ってしまったかもしれない。それくらい、フリーで逆転して優勝するためには大きすぎる点差がついていた。キム選手が少なくとも5回くらい転べば、まだ何とかなったかもしれないけれども、そんなことキム選手に限っておこるわけがないし。
トリノワールドでは、キム選手はショートで7位だったけれども、もし真央選手がフリーで一回でも転ぼうものなら、彼女の点数を見ると、もう一度キム選手がワールドでも優勝してもおかしくない点数だった。これではどうしても、現行ルールにおいても、やっぱりある種のひいきを行う事は可能というように考えられても、いたしかたないと思います。
この採点ルールは、フィギュアスケートの発展のためになると考えようとしているみたいだけれども、ソルトレークのスキャンダルで新ルールを作らなければいけなかったこともあったし、また特に、選手がみな同じように規格化されてしまうのを避けないといけなかったのだけれども、どうもそうはなっていないと思います。
僕が思うに、もし、物事を明らかにしたいならば、フィギュアの競技を二つに分けたらいいのではないでしょうか。ひとつでは、技術面での競争をして、技術内容で最も難しいことに挑戦し、また成功した者が勝利する。そして、もう片方では、選手各々の持ち味で勝負して、フィギュアの審判ではなく、観衆や芸術の世界のスペシャリスト達などに評価される場とする、など。このようにすれば、カートブラウニングや、伊藤みどり、はたまた僕のようなタイプのスケーターをまた氷上で見ることができるのではないかと思います。
確かな事は、僕達のようなプロに行った昔の選手たちは、今でもみなさんに楽しんでいただける演技を十分できると思うのですが、決して、競技に出たりすることはないという事です。4回転をじゃんじゃん跳ぶような若い選手達が一杯いますからね!でも、一方、観衆やテレビの視聴者の皆さんにどうやって楽しんでもらえるかは、僕達はよくわかっています。人々は、フィギュアの競技にスペクタクルを求めてやってくるのです。残念ながら、アーティストと呼べるような選手はどんどん少なくなっていると思います。確かに、スケートの上手な偉大なチャンピオンたちはいっぱいいるのですが、観客はいったいどれほど感銘をうけたり喜んだりしているのでしょうか。私が競技に出ている時は、もっとよろこんでいただけていたような。。。。!? 自画自賛かもしれませんけれども、どちらにしても、私はワールドやオリンピックで金メダルをもらうことはついに出来ませんでしたが、観客の方によろこんでいただいていることについて、常に深い喜びを感じていたのは事実です。そして、これは、僕にとっては、どんな色のメダルにも代えがたいものなんです。
次にいつ日本に来られるか、今すぐにお知らせできなくて、申し訳なく思っています。何か決まりましたら、すぐにでもお知らせいたしますから、待っていてください!
現在僕は、ホリデーオンアイスのトロピカーナというショーに出演中です。すべて順調で、お客さんもまた僕が氷に戻って来たことに、満足してもらっていると思います。僕のスケート人生を、デビューからハロー&グッバイまで、数分で描いた新しい演目ができました。なので、トロピカーナにおけるもともとの役割のショー案内人の役割もありますし、役者としての表現、スポーツとして体を使った創作プログラムの表現の両方を、僕の宇宙である氷の上でやっていけるということで、この上なく充実しています。お客さんを更に身近に感じられるし、遊んだり笑ったりできるし、本当にこの仕事は楽しいです。将来、日本で、日本語でアイスショーができたらなあ、なんてね。みんな僕をよく知っていると思うけど、ほんとにやっちゃったりするかもしれないので、その時はよろしく!笑
どんなことがあっても、お別れのショーを日本で行う事は、決してあきらめません。でも、1年以内位にはやらないと、本当にできなくなってしまうでしょう。そんなことになったら、本当の引退の前に、氷上で日本のファンのみなさんにアデューと言う事ができなかったという、僕の人生の大きな失敗として、一生残ってしまうでしょう。もう一度、皆さんの前で、ゴッドファーザーや、リュッキーリューク、ダルタニアン、トラボルタ、ブレイブハート、そして、サムライを滑る事ができたら、それこそ本当に僕の人生の誇りになるとと思います。
常日頃かわらず応援してもらっている皆さんには、感謝の気持ちでいっぱいだし、どうにかしてお応えしたいと思っています。氷の上でも、また他の場所でも、またお会いしたいです。近いうちに必ず。
それでは、その日までお元気で。日本の皆様にもくれぐれもよろしくお伝えください。
フィリップ









ファンのみなさん
心をこめて、僕からクリスマスのメッセージを送ります。また、2010年も皆さんが元気でお過ごしいただけるように、心から祈っています。
Hello & Goode byeのアイスショーは、残念なことに、すべてを運営してくれていたプロダクションの社長が亡くなられたことで、終わりを迎えてしまいました。2010年、日本でHello & Good byeの公演を実現できるかどうか、定かではなくなってしまいました。本当に悲しく思っています。
スケートから引退してしまう前に、どうしてももう一度、日本を訪れて皆さんの前で滑りたかった。それは、やはり、僕の現役時代から支えてくれたファンの皆さんは、僕の心の中で特別なものだったからです。
フランスでは、僕はすでに引退を発表し、次の人生のステップに踏み出そうとしています。皆さんご存知のホリデーオンアイスに、2月11日から、5月18日までの予定で、出演することになっています。
このショーの中で、僕は、スケーターとしてではなく、役者として、「ショーの案内人」の役割を演じることになっています。アイススケートショーでもありますし、僕が滑るなんてことが、全く可能性のないわけでもないかもしれませんよ。。。。
まあ、僕の近況は、こういった感じです。少しでもお伝えできて喜んでいただけたら幸いです。また近いうちに皆さんに会えますよう、祈っています。
2010年が皆さんにとって素敵な年になりますように。
いつまでもあなたの「三銃士」でいたい、フィリップ より。