日本国際保健医療学会から国際保健医療学に関する用語集をお届けいたします。


(英語訳 : MMR, Maternal Mortality Ratio)

妊産婦死亡とは、妊娠中または分娩後42日以内の母体の死亡をいう。日本では、妊産婦死亡率は、Maternal Mortality Rateを使っているが、実際上、開発途上国では、Rateを取ることは不可能なため、Ratioを使っており、英語訳はMaternal Mortality Ratioとする。Maternal Mortality Ratio−妊産婦死亡率は出産数(出生数)10万に対する年間の妊産婦死亡数で示される。
世界で妊娠・出産の結果死亡する女性は毎年50万人以上おり、その内90%以上が開発途上国で起きている。世界の出生10万対の妊産婦死亡率は400であり先進国が9に対して、開発途上国は450(データ:UNICEF2005)である。世界全体の妊産婦死亡率がやや減少したがその理由は、もともと死亡率の低かった国での減少によるもので、死亡率の高い国では、過去15年間ほとんど進展がみられない。
妊産婦死亡には妊娠合併症による死亡と出産に伴う死亡がある。その主要原因としては産後の弛緩出血、妊娠中毒症、不潔な出産取り扱いによる産褥感染、妊娠中毒の合併症などがある。また開発途上国における妊産婦死亡の背景には、早婚、若年妊娠、多産、妊娠中の母体保護の欠如、伝統的産婆や家族の介助による出産、医療機関や医療関係者の不足や緊急時の搬送手段の不足、異常時の対応の遅れなどがある。
開発途上国の妊産婦死亡を減少するためには、このような背景要因を適切に把握して対策をたてる必要がある。国際的には1987年以来WHOUNICEFが開発途上国の安全な妊娠・出産運動(Safe Motherhoodプログラム/イニシアチブ)を推進している。国連ミレニアム開発目標では、妊産婦死亡率を4分の1に減少することが掲げられているが、2007年の発表によると、その減少率は、年間1%未満にとどまっている。
(黒瀧 安紀子)

参考URL:WHOホームページ 
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2007/...
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