家畜伝染病の「口蹄疫(こうていえき)」が発生している宮崎県は28日、新たにえびの市の畜産農場で感染の疑いのある牛が見つかったと発表した。感染が確認された都農(つの)町の農場から南西に約70キロ離れている。ほかに川南町で牛、豚の感染疑いが判明し、感染防止のための処分数は計2800匹を超える見通しとなった。豚の感染疑いの確認は国内初。
県は同日夕にもえびの市の農場を中心に家畜の移動を制限する区域(半径10キロ)と搬出を制限する区域(同20キロ)を設ける方針。区域は鹿児島、熊本両県にまたがるため東国原英夫知事は両県知事に協力を要請した。
宮崎県によると、えびの市の農場は肉牛275頭を肥育。うち9頭に27日、初期症状が出たため農林水産省に遺伝子検査を依頼。複数頭で陽性反応が出たという。
また、川南町の農場でも28日、新たに感染の疑いのある牛5頭が見つかったという。この農場は肉牛1019頭を肥育。県は全頭を処分する方針で、1農場としては過去最大の処分数となる。
27日に県畜産試験場川南支場(川南町)で初期症状を示した豚5匹についても、遺伝子検査で陽性と判明した。
同県で牛や豚に感染の疑いが出たのは、これで計10例。うち1例目の牛3頭は既に感染が特定されている。
東国原知事は28日午前に開かれた県の防疫対策本部会議で冷静かつ迅速な対応を指示した。
=2010/04/28付 西日本新聞夕刊=