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[19685] (ネタ)神様転生をひねってみた。(チラ裏から移転)
Name: あいうえお◆7ccb0eea ID:547df944
Date: 2010/06/21 16:51
目が覚めるとはじめに見えたのは雲ひとつない青空…ではなくどこまでも続くような白い空間だった。
正直起きたばかりでまだうまく働かない頭では何が起きたのかは理解できないが、それでも、常識では考えられないような事態に直面していることだけは漠然と理解できた。
そのまま少しの間ぼんやりとしていたが、だんだん意識がはっきりしてきたので、とりあえず立ち上がって、からだを伸ばす。
そうしてからあたりを見回すと、すぐ後ろに人がいることに気がついた。

「ようやく気づいてくれたか」

そう話しかけてきたのは、なんというか、少女漫画にでも出てきそうな見た目の男性だった。
どうもそのセリフを聞く限り、こちらが気づくのを待っていたようだ。とりあえず謝罪をする事にする。

「えっと、おまたせしてすみません。…あの、自分は目が覚めたらここにいたんですが、あなたもそうなんですか?」

そう確認してみると、男性は何故か喜びと同情が混ざったような表情で首を横にふった。

「いや、そうじゃない。僕はずっとここに居るんだよ。今までもそしてこれからも…ね。それと、君がここにいるのは僕が呼んだからだ」

そう告げられたものの、一瞬何を言っているのか理解できなかった。
こんな何も無いところにずっといる?いや、それよりも呼んだとはどういう事だ?
様々な疑問が湧いてくるが、それを口にする前に男性が言葉を重ねる。

「君が混乱するのもよく分かるが、まずこちらの話しを聞いて欲しい。君は昨夜起きた地震で倒れてきた本棚に押しつぶされて死んでしまったんだ」

「はい?…たちの悪い冗談は止めてくださいよ。死んだっていうならここに居る自分はなんなんですか」

そう口では否定しながらも心の中では否定し切れない自分がいた。
先程起きたときに自分は何を考えた?常識では考えられないような事態に直面しているとそう思ったのではないか?
何よりもこのありえない空間がその言葉の信憑性を高めている。
…まて、もしすべて真実だったとしたら、死んだ自分を呼び寄せたこの男性の正体は、

「神、様?」

「そのとおりだよ。最も全知全能でも完全無欠でもない、どちらかと言えば八百万の神の一柱に近いけどね。他にも様々な神がいるし、上位の神もいるから」

驚いたことに当たっていたらしい。普通なら信じないだろうが、状況的にも神様、少なくとも人知を超えた存在であることは確かなのだろう。
…しかし、そうなってくるとなぜ、

「なぜ自分が呼ばれたのか分からない、という顔だね。その答えはとても単純だよ。君を救うことで僕への信仰を高めたいからだ。いや、僕に限らずとも神々は皆信仰を求めているんだよ」

確かに単純だった。しかし、信仰を求める…それは

「わかるような気はしますが信仰してもらうことでなにか変わるんですか?あと、自分を救うというのは?」

「君の好きな漫画でも言っていただろう?『真の力(パワー)の中心には人々からの尊敬が不可欠だ』と。『聖人』の『遺体』だろうと『神』だろうとそれは同じことなんだよ」

男性、いや神様は一度言葉を区切り、

「そして、君を救うというのは少し語弊があった。正確には僕の加護を与えるということだ。君はこれから輪廻の輪に入り転生することになる。それは生と死を司る神の仕事なので僕にはどうすることもできないが、君の来世がより良くなるように加護を与えることはできる」

「その加護というのは?」

「俗な言い方をすればモテモテになる」

…空気が凍った。いや、落ち着いて考えれば悪いことではない。むしろ幸運と言っていいのだろうが正直それが神の加護でいいのだろうかと思う。

「仕方ないだろう?魔法などの特殊能力を与えるのも身体能力を高めるのも僕の管轄ではないので無理だからね」

こちらの心境を察したのか、神様はそう言ってきた。まあ、きっとこの神様は恋愛か何かを司る神様だったのだろう。加護がもらえるだけマシじゃないかと自分を納得させる。

「そろそろ時間のようだ」

そう言われるとだんだん身体が透けてきているのがわかった。きっと、これから輪廻の輪に入るのだろう。神様にお礼を言おうと思い口を開きかけると、

「ああそうだ。最後になるが、まだ名乗っていなかったね。僕は『BLの神』だ。ちなみに仲がいいのは『ガチホモの神』や『やおいの神』、上位神は『同性愛の神』だよ」

告げられた言葉に頭が真っ白になる。まて、まさかモテモテってそういう意味か、とか、そんな加護いらねえ!とかいう前に自分の意識は消えていった。






とある世界のとある町で一人の男の子が生まれた。
彼はすくすくと元気に育っていったが、だんだんと自分と周囲に疑問を持つようになっていった。自分が微笑むと何故か周りの男の子が顔を赤くするのである。
小さい頃は不思議に思っただけだったが、大きくなるに従ってそれだけでは済まなくなっていった。
クラスメート(♂)に尾行されたり、部活の先輩(♂)に指導と称して身体を触られたり、挙句の果てには父親に下着を盗まれたりした。

そのようなこともあり、彼はだんだん人前では笑わなくなり、相手の目を見ないようサングラスをかけ、椅子に座るときは口の前で手を組み、表情を隠して過ごすようになった。
正直人間不信になりかけたが、そんな彼の境遇を理解して支えてくれる女性がいた。
だんだん彼はその女性に依存するようになり、女性もそんな彼を受け入れた。

数年後、二人の間に子どもが生まれた。
その子どもが娘だったならばなんの問題もなかっただろう。しかし、そうはならなかった。
彼は決して息子に笑いかけようとはしなかった。
愛しいと思うものの、もし笑いかけて息子まで将来自分の貞操を狙ってきたらどうするのか、(父親→娘なら鬼畜系であるかもしれないが、息子→父親とか誰得だよ)どうしてもその不安を拭えなかったのである。

そんな、多少微妙な親子関係のまま時間は過ぎていき、そして事件は起こった。
彼の妻が死んだのである。事故のようなものだったし厳密には死んだとは言えないような状態だったが、居なくなったことには変わりが無い。
そして、自分が世話をすることができないと判断した彼は息子を親戚に預け、自分は唯一の理解者であった妻に、もう一度だけでも会いたいと行動を開始した。

月日が流れ、彼の妻に会いたいという計画は最終段階に入った。そのために呼び出した息子がもうすぐこちらにやってくる。かつて息子にしたこと、そしてこれからすることを思うと罪悪感で押しつぶされそうになるがなんとか耐えて待ち続ける。
そうして久しぶりに再会した息子だが、記憶に残っている姿とは全然違っていた。
無駄に周りを見下すような雰囲気なのはまだいい。自分のしたこととはいえ、いろいろと苦労もあったのだろうし、性格が歪んでしまっても仕方ない。
だがなぜ銀髪紅眼なのだろうか?黒髪黒目の典型的な日本人だったはずなのだが。そのようなことを考えていると、息子が口を開いた。曰く、
「母の姓を名乗るな」「戦ってやってもいいが10億よこせ」「命令は聞かない、好きにやらせてもらう」「この髭が」
らしい。何を言っているのかわからず、もしやこれが反抗期というやつなのかと考え――久しぶりに息子にあって気が緩んでいたのだろう――つい苦笑する。…そう、苦笑してしまった。

その瞬間自分を見ていたすべての男性が頬を赤く染めた。それは、先程までこちらを睨んでいた息子も例外ではない。やってしまったと絶望して意識が飛んでいる間に話は進み、気がついたら使徒はすべて倒され、ゼーレは監視カメラでこちらの盗撮を始め、妻は息子が救い出し、気がついたら自分は息子に押し倒されていた。
「僕は、父さんが憎いと思っていたけど、本当は父さんに僕を、僕だけを見ていて欲しかったんだ。あの時、それに気がついた」
なにか言っている。だから誰得だよ!と電波を受信するが事態は好転せず、というかだんだん顔が近づいてきて、ちょ、やめ…



「アーッ!!」

END

はい、というわけで転生先はエヴァンゲリオンでした。しかも逆行スパシン。まあ、通常のスパシンとは三回転半ぐらい違う方向にぶっ飛んでますが。
…というかほんと誰得だろう?





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