ところが,日本の議員は当選すると,庶民から王様に変わる.つまり,それまで年間800万円の所得で,税金を払っていた人が,議員に当選するとすぐ,税金を2000万円から4000万円も貰う王様になるのだ.
一方,官僚は最初から税金を貰う。その官僚に命令を出すために庶民は議員を選出するのだが,なんと言うことか!! 当選すると議員は「官僚」に変身する。
議員が税金で生活するようになると,たちまち官僚と意見があうようになる.なにしろ,両方とも税金で暮らしているのだから,何とか庶民をだまして税金を取ろうとする.
人間は善良な性質も持っているが,それはプライベートなときで,集団になったり,仕事の場合は必ずしも善良ではない.特に政治のような権力を伴うものは「性善説」では失敗する.20世紀初頭の共産主義が「性善説」をとって大失敗したのは歴史的事実である。
庶民が議員を選び,その議員が「庶民の側にたって発言したり,官僚を押さえる」ことによってバランスが保たれるのである.
今,日本国はお金が余っている.余っているから「エコポイント」などに15兆円もだせるので,お金が余っていなければ出せないし,衆議院議員が黒塗りの車に乗っているはずもない.
この場合の「お金」とは「帳簿」のことではなく「現金」のことである.帳簿上は国は赤字であるが,個人と違って国の赤字は帳簿上のことだけである.問題は現金であるが,現金は余っている。
このことを理解するのには少しの経済学がいるので,多くの国民は理解できない.その隙を突いて帳簿上の赤字を強調し,「消費税を上げなければならない」と言う.まったくの偽りだが,帳簿と現金の差がわかりにくいことをついている。
もし,議員が税金を貰っていなければ,そこを鋭く突くだろう。そのためにこそ,私たちは選挙をやっているのだ.
「政権交代」などと言っているけれど,「私は議員に当選しても,税金を貰いません」という人に投票しなければ政権交代などは,単なる首のすげ替えに過ぎない.
(平成21年7月25日 執筆)