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[19689] 【ネタ】 ドキッ!?チートだらけの学園生活 [敢えて言うなら異世界被侵食モノ?]
Name: シンシ◆5162ca10 ID:05636c94
Date: 2010/06/20 22:03
とある時代のとある事件。
オカルトも空想科学も無い筈のリアルは想像を絶する夢想に歪み狂わされた。

<魔王>召喚

世界に収まりきれない究極存在の襲来により基底法則は弾き出され、
ソレによって生じた空白を埋めようと想像が世界を象り、虚言は真言に夢幻が真実へと反転する。

その結果、誕生するのは亜人・幻獣・魔術師・架空兵器・獣人・亡霊・エクセトラ・etc・エキストラ。

現実は好き勝手な理想に隷属し、嘗て無かった数奇な姿へ変貌させられ
夢見る子供が最強の勇者に、恋する乙女は絶世の美女へと変身してしまう。

コレは、そんな妄想が常識に成り代わった壊れ砕けた世界でのお話。

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ある草木も生えていない平野。

まるで戦争をする為に用意されたような広大な其処は、
中央に有る巨大な繭を守護する荒々しい肢体と禍々しい武具を併せ持つ亜人の群れに占領されていた。

ソレは黒馬に跨る獣騎士達=想像から創造された魔獣の群れ

自前の毛皮の上から甲冑を着込んだ人狼剣士が唸り、
鱗交じりの手で棍棒を握る緑色の醜悪な怪物が嘲笑い、
己の武勇を誇示するように槍を掲げる獣王が雄叫びを上げる。

そんな悪夢めいた光景を遠くの小高い丘から見下ろす奇妙な五人組が居た。
ソレは五色の誤植。

「ワーウルフにオークに騎獅。ファンタジックビースト大集合ってか?
 ダラダラ涎垂らした畜生風情が鎧なんぞ着てんじゃねえよ」

望遠グラスに映るケダモノ共の醜態に吐き捨てたのは黒いポニーテールの日系人。

春疾風に靡く白地の特攻服と革ベルトに挟んだ木刀と二挺の拳銃から
時代劇の侍か西部劇のガンマンのような印象を与える其の麗人は五人の中でも圧倒的な異彩を放っている。

歳は二十を過ぎるか否かだろうが、
木目細かい黒髪の下にある凛とした美貌を挑発的に崩し大型ジープのフロントに胡坐をかく其の態度は何処までも不遜であった。

「うじゃうじゃうじゃうじゃ、染みみてえだなオイ。何桁いんだよ。
 あん?マジかよ飛竜まで居やがる。なんだこの気ィ狂った世界は」

吐き捨てられた感想と共に投げ捨てられた望遠グラスによって見えたのは黒瞳のツリ目。
地平を埋め尽くす魔獣の群れと上空を駆け巡る翼竜を睨み付ける刺々しい視線と眉間に刻まれた皺が
キツイ雰囲気を醸し出しているが十分に美少女と呼べる容貌だった。

「多分、オンラインゲーム【魔絨戦記】の影響じゃないかな?あのドラゴンも狩猟圏内に入ったら問答無用で食い殺すトラップモンスターに似てるし」
「議会からの報告によりますと同ゲーム内には三日間以上連続でログインを続けたアバターが存在しているようです」

麗人の悪態に運転席から愉快そうな声が解説し、助手席から落ち着いた声が補足をする。

ピコピコと動くロバ耳+アーモンド形の目=エルフ族の容貌

息の合った返答者は半袖の迷彩服を纏った双子姉妹。
同じ造りの顔を金髪ツインテールの破顔と青髪ボブカットの微笑で整える彼女達の手には物騒な砲銃が存在した。

手に持った機関銃を弄り回す破顔の姉はガンドアールヴ・馬華。グレネードランチャーを握る微笑の妹はガンドアールヴ・阿峰。

本来ならば細身では持ち得ない重量のソレは【カノン姉妹】と渾名される彼女達の理想そのもの。
リロードの手間も反動による衝撃も妄想で誤魔化した望装と呼ばれる架空兵器である。

「・・・あー、どっかで見た事あると思ったらネトゲーかよコレ。仮想戦争にのめり込んで飲み込まれたって訳か、くだらねえ。
しかも、【魔絨戦記】つったら万対万の大戦っつうのがコンセプトだよなァ確か。
個人の武勇にマイナス補正掛かる無駄なリアリズムが跋扈する世界で大軍に挑むなんざ無理ゲーすぎんだろ」

麗人の言う通り、この光景は個人の妄想が生み出した文字通りの悪夢だ。
ただし、熟睡しているのは世界であり現実に居座っている元凶を追い出さない事には終わらない魔境だが。

「姉御の言うとおりっすよ。せめて無双系の奴にしてくれればいいのに、これじゃオイラの能力の半分も使用できねえ」
「オイコラ、エセ超能力者ァ。何度言えば分かる。俺は男だっつッてんだろうが!」

特攻服の背中に怒鳴られたのは紅い中華風導衣を身に着けたニヤケ面の漢。

赤の鬣+赤眼+額を突き破る双角=鬼族の証
首の後ろで組んだ赤黒い豪腕に太い血管を浮かび上がらせる彼は【兵鬼】、歌州戊卦。

ファッションも装備も一致しない集団の中でも唯一の丸腰。
其の望装は肉体信仰によって産まれた鋼の肉体。及びソレによって可能となった規格外の武術。

「ったく、ユーザーのヤル気削ぐ様な世界を“暴想”してんじゃねえよクソガキが。
 ところで魔術は使えるか山波」

「難しいですね。魔力自体は存在していますから簡単な攻撃魔法程度は可能ですが、ゲームの法則に従って大規模な魔術は行使できませんし
 飛翔に至っては削除されているみたいです」

恐らくは隊長格であろう麗人に丁寧な敬語を用いて答えるのは黒い法衣を纏った眼鏡の青年。

イヌ科の耳+背筋を隆起させる蝙蝠の翼 =悪魔族の象徴

【快闘嵐魔】と呼ばれる彼、山並ランマの望装は肩に掛けられた木製杖。起こす奇跡は天変地異の召喚。

「まあ、ボク達も戦闘ヘリとか召喚できないしね。ジープとか近代兵器が限界みたいだし」
「弾数制限もされているようです。世界から反則行為と認識されているのでしょう」

「ふうん。ファンタジー世界ならイケルかと思ったが、俺を除いて全員が抑制されてる訳か。
 二万人以上の共通認識じゃ相当に堅いわなソリャア」

部下からの報告をどうでもいいように受け流しながら麗人がジープに積まれた四つの顔に振り返る。
其の挑発的で色気の有る横顔は本人の言を完全に否定していた。

「この世界の常識に縛られて能力が発揮できねえコッチに対して
 敵は個体で数えるより占領面積で数える方が早い軍勢、更には伝説クラスの化け物が一匹。 
 駄目だな、こりゃあ。一分以上も交戦すれば絶対に全滅する。生涯を賭けた大仕事の報酬は可愛くもねえマセガキが一人。
 ハッ、割りに合わねえにも程があらあ。なあ、始末書くらいは書いてやるから帰っちまおうぜ?帰りたい奴挙手しろー」

はーい、と言いながら右手を挙げる麗人の提案に

 エルフの姉は笑いながら機関銃を握り、
 エルフの妹は砲銃のグリップの調子を補完しながら構え、
 ディアボロスの青年はケープから取り出した赤黒い手で捻じれた杖を握り締め、
 赤髪鬼は姉御の媚びた声可愛いなあ、と考えながら重ね合わせた指関節をポキリと鳴らし、

誰も武器から手を退けようとはしない。

破顔、微笑、無表情、ニヤケ面。
各々の表情は崩れることなく麗人を無言で見ていた。

「・・・んだよ。帰りたいの俺一人かよ。ロリコン多くなったな人類も。
 けど、多数決の論理なんぞこの御時世には通用しねえんだ。つうわけで帰るぜ俺は」

無言の否定を受けた麗人は前を向き直り、右手で引いた。

パン!!
手に持つ黒銃の引き金を。

射程距離など無関係に放たれたソレは当然、軍団を傷つけることは出来ない。
出来るとすれば宣戦布告の狼煙を上げる程度か。

------ 人間軍の攻撃を確認。これより戦闘フェイズに移行します----

ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!

魂魄に直接響く面妖無機質な音声=虐殺のファンファーレに導かれ、雄叫びを上げる魔獣が侵攻を開始する。

「とっとと、クソガキ助けてよ」

自身達が位置する丘へと迫り来る無数の軍勢を前にして麗人の声色に変化は無い。

「それじゃあ私達と同じじゃないですか」「そうですね、手早く終わらせて飲みましょうか」
「おっ!いいねえ、阿帆味亭とかどうよ?」
「室長の驕りなら検討しますが」

余りにも軽率に世界に喧嘩を売った麗人に対して叩かれるのはタダの軽口。
説明もなく開戦させられた彼等の表情に動揺は見当たらない。

「奢る訳ねえだろ、ド阿呆共。当然、割り勘だ」

「うわっケチ」「私達より給料良い癖に」
「嫌な上司ですね」

「うるせえよド阿呆共。つうか実は既に予約してるんだわ。だからキャンセル料払わせるような真似すんなよ、面倒クセエからな」

其の会話は地獄絵図を見据えているとは思えない程に日常的。
ソレが意味するのは経験、つまりは潜った修羅場が齎す余裕。

--―この物語は超常現象が常識となった終わりかけた世界で

「じゃあ始めっか」

瞬時沈静。

ゆるりと立ち上がった背中が魂魄の奥底を震わす喧騒を翳ませ、粉塵を巻き上げる大群の威圧を掻き消す。

ソレは四桁以上の死線を越えた生者だけが有する重み。
場に居る誰よりも若く見える麗人にはそぐわない威厳が修羅場を圧する。

--―角ばった定規の代わりにマジな真剣を

「特攻プランは即滅突貫だ。さっきも言ったが殺り合っても勝ち目はねえ、反撃受ける前に終わらす。
 山波と歌州は一瞬で良い、偉そうに空汚してる蜥蜴の気ィ引いとけ。
 その間に俺が繭からガキを奪還する。
 馬華・阿峰はテメエら御自慢の火力で駄犬共の大掃除だ。解ったか?」

振り返ろうとしない特攻服に栄えるは教育上等。

「「「「「了解」」」」」

音量も高低もバラバラに統一された返答が意味するは信頼と結束。

--―チョークの代わりに弾丸を

軍略、オカルト、武道。各分野で最高クラスの能力を誇る四人を統一させる麗人の種族は
願望、欲望、希望に汚染され転身した人類の中でも異端中の異端。

ソレはヒト、つまりは何の能力も持ち合わせない普通の一般人。

「よし。じゃ、気合入れて行くぜテメエら」

「「「「応!」」」」

理想の自分が容易く手に入る時代を現実の木刀と拳銃で特攻する其の生き様に
依然として人間を捨てようとしない四文字の信念の前に超兵器も超魔術も超武術も一丸となって付き従う。

--―忘れ去られた教育の情熱を懐に

「地衣都学園生活指導室、室長 神野静戒が同胞に告ぐ。
 貴君等の心身に宿りし教鞭を奮い生活指導を開始せよ!」

「「「「 応!! 」」」」

木刀を地獄に向けて放たれる麗人の雄叫びに鬼が猛り悪魔が詠いエルフが発射し
背面全てを排気管で構成するジープが斜面を滑る事無く空を翔け、中心目掛けて飛来する。

「逝くぞテメエ等ァ!我等が教え子を救いやがれええええええええええええぇぇぇ!! 」

「「「「「 雄嗚オオオオオオオオォォ!! 」」」」」

誘き寄せた魔獣の群れを置き去りにして空を翔る箱舟が向かうは荒野の中央を陣取る黒い繭唯一つ。
けれど、如何に規格外の速力を誇ろうとソレが為せるのは疾走のみ。
つまりは墜落、言うまでも無く自殺行為。

--―出鱈目な世界で誕生したモンスターチルドレン達を

「さあ、家庭訪問の時間だぜクソガキィ!」

屈伸、跳躍。
麗人は迫り来る地面に怯む事無くジープを蹴り一陣の流星と化し

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

其の特攻を設定された本能に従い飛竜が襲い掛かる。其の襲撃を後部座席から飛び出した歌州と山波が迎撃する。

--愛とかそういう感じの鞭で引っ叩き

巨竜の咆哮に挑むは鬼の怒号と悪魔の囁き

「姉御の花道汚してんじゃねえぞボケエエェ!」
裂帛の気合で赤神鬼の掌から炎の波動が出現し

「雷狼忌憚 第一節【紫矢縫坑】」
ディアボロスの言霊によって杖から狼を象った紫電が迸る。

「ッラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァ!!」

魔術と気巧術が炸裂し僅かに軌道が逸れた飛竜を麗人は肘と踵で払いのける事で更なる加速を得る。
薄い菌糸の網から覗く生徒の寝顔へと。

ガアアアアアアアアアアアア!!

其の常軌を逸した墜落の狙いに気付いたか、魔獣の軍隊が咆哮を上げ麗人に殺戮の凶器を見舞う。

放たれるは大岩、長槍、矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢矢

狂気に染まった特攻から世界を守ろうと無限の武器が荒野から昇れば、
凶気に染まった猛攻から麗人を守ろうと無数の弾丸が箱舟から堕ちる。

--体当たりの授業で現実と向き合わせる

魔獣の殺戮を嘲るは妖精の悪戯

「キャハハハハ」「邪魔ですよ」

狂笑する妖精の豪速乱射と冷笑する妖精の炸裂爆撃が麗人を射殺そうと投擲された武器を主もろとも葬っていく。

高速で迫り来る地面を突き放すように【カノン姉妹】は只管に闇雲に無鉄砲に撃ち続ける。
常人ならば感じるだけで失神する凶悪な光景と風圧を前にして双子は凄絶な笑みを浮かべていた。

「地衣都学園中等部二年三組、出席番号12番 小森 灯紀ィ!」

麗人は守護者の抵抗をフルバーニアと己の健脚で得た圧倒的な加速で潜り抜け、それでも削りきれない逆天の鏃を自身の木刀で跳ね返し
即死に繋がる頭部と胸部のみを守りながら特攻する。

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォ

矢を生やし続ける赤い特攻服を悪魔と鬼を弾き飛ばした飛竜が襲う。

「ゲームは一日三時間までって先生との約束を速攻で破ってんじゃねえぞコラァ!」

鮮血で汚れた麗人を喰らい付こうとする飛竜を止める者は居ない。

飛竜の膂力の前に鬼も悪魔も錐揉み状に空を舞い、ジープを爆破されたエルフの双子も手から銃器を落とした。

魔力も気力も武力も使い果たした四人が地面に接するコンマ五秒前。
間近に迫った大地を前にした血塗れな集団は誰も諦観しようとはしない。

「何時までも引き篭ってないで、とっとと学校に出て来んかァ!!」

血反吐が零れるのも構わずに吼えた麗人が黒い繭に木刀を振り抜いたのを見た為だ。

--思春期特有のアレと真っ向から向き合う教師達の闘いの記録である。

ピキッ。
繭に皹が入り悪夢が終わりを迎えた。



[19689] 挨拶
Name: シンシ◆acfd359c ID:05636c94
Date: 2010/06/20 17:53
コンニチワ。誰も覚えてないでしょうが
考えてたけど忘れた ってタイトルの作品書いてたシンシです。

ほら、良くあるじゃないですか。間違って削除しましたってコメント。
そんな事ある訳ねえじゃねえかとか思って読んでたんですけどね。

モロ、ソレですorz

この前、編集してたら全消しになっちゃいました。
本当にあるんスねそんな事故。

で、再掲載しようと思ったんすけどね。
編集後の分、保存してねえや(泣)って事に気づきましてダルくなりまして、
息抜きに軽い話を書いてみました。
タイトルに釣られた人が居れば気軽に読んで下さい。


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