(CNN) 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のグテレス高等弁務官は17日、訪問先のシリアで、UNHCRに第三国での定住を申請したイラク難民が10万人に達したことを明らかにした。
イラクから流出した推定約180万人の難民の多くは、近隣のシリア、ヨルダン、レバノン、エジプト、トルコなどに滞在している。UNHCRは、難民らが米国などの第三国に再定住できるよう、手続きなどを支援してきた。今年の報告書によると、中東全体では51万1760人の難民がこうした支援を受けている。
イラク難民からの申請はそのうち約2割を占める。グテレス氏は「10万という人数は大きな成果だ」と強調した。ただし、申請者のセキュリティーチェックや各種手続きに時間がかかるため、今年5月の時点で、実際に米国などへ向かった難民は約半数にとどまっているという。同氏は受け入れ国に、迅速化への一層の協力を呼び掛けた。
グテレス氏によると、世界各地の紛争は近年長引く傾向にあり、自国へ帰還できる難民の数は減少している。昨年の帰国者は25万1500人と、過去20年で最低を記録。このうちイラク難民は3万8000人にとどまった。
シリアには、再定住を申請したイラク難民の約45%が滞在している。グテレス氏は同国で20日に開催される世界難民デーの行事に参加するため、同国を訪れている。