悪説桃太郎2
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「悪説桃太郎2」
「悪説桃太郎2」
御殿には、見とれるほどに美しい庭もあれば、ほおが落ちる程の食べ物もあります。
ですが、多くの者たちは地下にある、大牢獄のことを知りません。
桃太郎を案内する召使いは、この薄暗い牢を知る者の数少ない一人です。
この場にはそぐわない、きらびやかな衣装をまとう桃太郎は、石の敷き詰められた廊下を召使いと歩いていきます。
やがて、一つの牢に辿りつきました。厳重な鎖が、扉に付けられています。
「ここか。鬼娘、真鬼がいる牢は」
「はい、今開けますので……」
召使いが鎖に付けられた鍵を開けます。
先に危険が無いか確認しようと言う召使いですが、桃太郎は、
「俺を襲えば切るまでよ」
そういい、桃太郎は何のためらいもなく、牢に入って行きました。
牢の中には、鬼娘の一人、真鬼がいました。体には犬のような白い体毛、長い耳が生えています。
可愛い尻尾がゆらゆらと揺らす様は、鬼と言うよりも犬そのもののように見えます。
彼女は石の床に横たわって寝ていましたが、主人の匂いを感じ取ったのでしょうか、びくりと体を震わせて、目を覚ましました。
短く切った髪は男の子のような溌剌さです。
柔らかく豊かな胸、細い手あし、そしてしなやかな腰をもった彼女は、とても元気で健康的な雰囲気を持っていました。
犬のような体毛は、彼女の乳房、下腹部を覆い隠していますが、彼女の備える色気を損なうものではありませんでした。
それどころか、ますます妖しく、美しいものにしている、そう桃太郎は思いました。
「真鬼」
桃太郎が、尊大な調子で真鬼に語りかけました。すると、真鬼は途端に頬を赤らめ、媚びるような目で桃太郎を見上げました。
「ずっと待っていました、桃太郎さまあ」
甘い声、熱い吐息が彼女の唇から放たれます。まるで、発情した犬が見せるような、淫靡な仕草です。何かをおねだりするように、彼女は膝をすり合わせていました。
「どうだった、きび団子の味は。えも言われぬ美味さだっただろう」
桃太郎の声一つ一つが、彼女の興奮を燻ぶるようです。首を縦に振り振り、彼女は答えます。
「はい、とてもおいしかったです。あんなおいしいものを食べたのは初めてですっ!」
「そうか。だが、あれで満足してはならん。この世にはもっとうまいものがあるのだ」
そう言って、桃太郎は真鬼のあごを指で軽く持ちあげました。とろけた真鬼の顔は、桃太郎に見つめられて、さらに溶けだすかのようでした。
「これから手伝ってほしいことがあってな。お前が俺の言うことを聞くなら、お前を満たしてやらんことはない」
主人の手が彼女の胸に伸びます。体毛の上から感じる主人の指の感覚に、すぐに真鬼の体が悦びを感じ始めます。
びくびくと震える体は、彼女の興奮のあおりをうけ、ますます快感をせがみます。
「はあっ、ごしゅ、はあっ、はぁ」
外に伸びた桃色の舌は、熱い口内から逃げだそうとしているかのようにも見えます。
その様子を満足げに見つめる桃太郎は、いじっていた彼女の乳房から手を離しました。
「あっ、ご主人様、もっと……」
未練がましそうに腰をくねらせる真鬼に、桃太郎は言います。
「最高のご褒美は、主人の与える仕事を終えてから楽しむものだ、真鬼。言っただろう。手伝ってほしいことがあるのだ」
もう一度、彼は真鬼の瞳を見つめました。
「お前は俺のためなら何でもするか」
「はい、わたしは御主人のためならどんなことだってやり遂げて見せます」
「かつての友人を陥れるようなこともできるか」
「できます!」
元気に言う彼女は、桃太郎が満足するほどに、冷酷さを秘めた笑顔で言いました。
真鬼の牢から離れた場所で、捕えられた鬼娘の一人、絹鬼は、必死に自分と戦っている最中でした。
飢えに耐えきれず、差し出されたきび団子を口にしてしまってから、彼女の体にも真鬼と同じように、変身が始まっていたのです。
彼女は鳥の力を得ようとしていました。既に背中からは美しい玉虫色をした、鳥の羽根が生えています。
「……いあ……いやだ……」
彼女は、まだ幼い体を自らで抱きしめるようにし、床にかがみこんでいました。
そうしている間にも、本来の彼女の優しい心は一つ一つばらばらにされていき、これまでになかった新しい感情、残酷な気持ちがあふれていきます。
「わたしがわたしじゃなくなる」
声も、感情を徐々にうしなった、抑揚のないものになってきているのに、彼女は気づいていました。
流し続けた涙ももう出ません。涙を流すということが、どういう感覚であるのかを、彼女はもうすっかり忘れていました。
凶気をはらんだ瞳の光は、ただ虚ろに前方の扉を見つめていました。
すると、彼女の目の前で、扉が開いたのです。
「ほう、これはなかなか面白い見せ物だな」
絹鬼の主人、いや、彼女達を捕え、きび団子を食べるように仕向けた人間、桃太郎でした。
はばかりない、好奇の視線を投げかけられて、絹鬼の中に、自身でさえ戸惑いを覚える程の、強い殺意が湧きおこりました。
「そうだ。俺が欲しいものはその凶気」
悠々と桃太郎は、絹鬼に近づいていきます。彼女の美しい髪に桃太郎が触れました。す
ると、先ほどまで彼女が抱いていた殺意はか
き消えて、かわりに深い安心感がやってきた
のです。
「だめっ!」
彼女は叫んで、顔をそむけました。桃太郎
に心を一瞬でも許そうとした、自分を恥じるかのようでした。
「これは残念だ。お前はかなりの人見知りらしいな」
桃太郎はこの状況を楽しんでいました。そして、外に隠していた、絹鬼の仲間の名を呼んだのです。
「真鬼。出番だ、絹鬼を慰めてやれ」
「ご主人様、おまかせくださいませ」
その声と共に牢へ入ってきた真鬼の姿を見たときの絹鬼の表情は、驚きというよりも、恐怖に近い物でした。
絹鬼の友達の真鬼が、まるで犬のような姿に変わり果てていたのですから。
そしてその恐怖は、真鬼の姿を「美しい」と思ってしまった自分にも向けられたものだったのです。
「へえ、絹鬼ちゃんは鳥なんだ。すごくきれいな羽が生えてる」
真鬼は、全く恐れることもなく、絹鬼に近づいていきます。
姿は変わっても、心までは変わっていない。そう絹鬼に思わせるほど、真鬼はあくまで「いつも通り」でした。
でも、普通はこんなに恐ろしいことがあったなら、どうかなってしまうものではないでしょうか。
そう思うと、絹鬼は急に、真鬼の自然さが不気味に思えてきたのです。
「こないで!真鬼ちゃんは普通じゃないよ!」
「何を言っているのよ。わたしはきび団子の力で生まれ変わっても、わたしのままだよ。
絹鬼ちゃんも食べたんでしょ?なら、わたしがどんなにしあわせなのか分かるはず」
嘘だと絹鬼は思いました。
きび団子を食べても、わたしはわたしのままという、真鬼の言葉には嘘があるのです。
だって、このやりとりの間にも、絹鬼は自分の心が、とても邪悪なものに塗り替わっていくのを感じていたのですから。
葛藤の間にも、変身は続きます。絹鬼の足の指から、鷲のようなかぎ爪があらわれ始めました。
変化とともに、何とも言えない気持ちよさが体を包みます。
「いやあ、ううう……」
目を固くつむりながらも、変身がもたらす気持ちよさに耐えることができません。
ですが、真鬼も、絹鬼が今感じているような気持ちよさの末に、あんな姿になったのだと思うと、心をゆるすことはできないのです。
「無理しなくていいの」
震える絹鬼に、真鬼はやさしく囁きました。
耳元で囁く真鬼の顔は、先ほどの笑顔とは一転、冷たい表情に変っていたのですが、絹鬼には分かりませんでした。
「たとえ、あなたが変わっても、わたしはずっと友達でいる。約束よ」
表情が変わっても、その可愛い声には全く邪気が見えません。
絹鬼の行き場のない心は、次第に真鬼に傾いていきました。
「ずっといっしょ?」
「そう、ずっといっしょ」
真鬼の指が絹鬼の人さし指に絡みました。
指きりゲンマン、嘘ついたら針千本飲ます。
固く閉じていた絹鬼の目が、ゆっくりと開きました。見るものに恐怖を与え、委縮させる、鋭い眼光が溢れています。
「ありがとう」
感情のこもらない声で絹鬼が言ったあとすぐです。彼女の身体は、一気に鳥の姿へと変わっていきました。
手足の鋭いかぎ爪、ピンと伸びた尻尾。薄い胸には、羽の色と同じ、玉虫色の衣が覆っていきます。
急速な変身を見て、微笑をたたえているのは桃太郎だけではありません。
犬奴隷となった真鬼も、変身を続ける絹鬼自身も、この異常な事態を楽しんでいました。
心の底から楽しんでいました。
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ですが、多くの者たちは地下にある、大牢獄のことを知りません。
桃太郎を案内する召使いは、この薄暗い牢を知る者の数少ない一人です。
この場にはそぐわない、きらびやかな衣装をまとう桃太郎は、石の敷き詰められた廊下を召使いと歩いていきます。
やがて、一つの牢に辿りつきました。厳重な鎖が、扉に付けられています。
「ここか。鬼娘、真鬼がいる牢は」
「はい、今開けますので……」
召使いが鎖に付けられた鍵を開けます。
先に危険が無いか確認しようと言う召使いですが、桃太郎は、
「俺を襲えば切るまでよ」
そういい、桃太郎は何のためらいもなく、牢に入って行きました。
牢の中には、鬼娘の一人、真鬼がいました。体には犬のような白い体毛、長い耳が生えています。
可愛い尻尾がゆらゆらと揺らす様は、鬼と言うよりも犬そのもののように見えます。
彼女は石の床に横たわって寝ていましたが、主人の匂いを感じ取ったのでしょうか、びくりと体を震わせて、目を覚ましました。
短く切った髪は男の子のような溌剌さです。
柔らかく豊かな胸、細い手あし、そしてしなやかな腰をもった彼女は、とても元気で健康的な雰囲気を持っていました。
犬のような体毛は、彼女の乳房、下腹部を覆い隠していますが、彼女の備える色気を損なうものではありませんでした。
それどころか、ますます妖しく、美しいものにしている、そう桃太郎は思いました。
「真鬼」
桃太郎が、尊大な調子で真鬼に語りかけました。すると、真鬼は途端に頬を赤らめ、媚びるような目で桃太郎を見上げました。
「ずっと待っていました、桃太郎さまあ」
甘い声、熱い吐息が彼女の唇から放たれます。まるで、発情した犬が見せるような、淫靡な仕草です。何かをおねだりするように、彼女は膝をすり合わせていました。
「どうだった、きび団子の味は。えも言われぬ美味さだっただろう」
桃太郎の声一つ一つが、彼女の興奮を燻ぶるようです。首を縦に振り振り、彼女は答えます。
「はい、とてもおいしかったです。あんなおいしいものを食べたのは初めてですっ!」
「そうか。だが、あれで満足してはならん。この世にはもっとうまいものがあるのだ」
そう言って、桃太郎は真鬼のあごを指で軽く持ちあげました。とろけた真鬼の顔は、桃太郎に見つめられて、さらに溶けだすかのようでした。
「これから手伝ってほしいことがあってな。お前が俺の言うことを聞くなら、お前を満たしてやらんことはない」
主人の手が彼女の胸に伸びます。体毛の上から感じる主人の指の感覚に、すぐに真鬼の体が悦びを感じ始めます。
びくびくと震える体は、彼女の興奮のあおりをうけ、ますます快感をせがみます。
「はあっ、ごしゅ、はあっ、はぁ」
外に伸びた桃色の舌は、熱い口内から逃げだそうとしているかのようにも見えます。
その様子を満足げに見つめる桃太郎は、いじっていた彼女の乳房から手を離しました。
「あっ、ご主人様、もっと……」
未練がましそうに腰をくねらせる真鬼に、桃太郎は言います。
「最高のご褒美は、主人の与える仕事を終えてから楽しむものだ、真鬼。言っただろう。手伝ってほしいことがあるのだ」
もう一度、彼は真鬼の瞳を見つめました。
「お前は俺のためなら何でもするか」
「はい、わたしは御主人のためならどんなことだってやり遂げて見せます」
「かつての友人を陥れるようなこともできるか」
「できます!」
元気に言う彼女は、桃太郎が満足するほどに、冷酷さを秘めた笑顔で言いました。
真鬼の牢から離れた場所で、捕えられた鬼娘の一人、絹鬼は、必死に自分と戦っている最中でした。
飢えに耐えきれず、差し出されたきび団子を口にしてしまってから、彼女の体にも真鬼と同じように、変身が始まっていたのです。
彼女は鳥の力を得ようとしていました。既に背中からは美しい玉虫色をした、鳥の羽根が生えています。
「……いあ……いやだ……」
彼女は、まだ幼い体を自らで抱きしめるようにし、床にかがみこんでいました。
そうしている間にも、本来の彼女の優しい心は一つ一つばらばらにされていき、これまでになかった新しい感情、残酷な気持ちがあふれていきます。
「わたしがわたしじゃなくなる」
声も、感情を徐々にうしなった、抑揚のないものになってきているのに、彼女は気づいていました。
流し続けた涙ももう出ません。涙を流すということが、どういう感覚であるのかを、彼女はもうすっかり忘れていました。
凶気をはらんだ瞳の光は、ただ虚ろに前方の扉を見つめていました。
すると、彼女の目の前で、扉が開いたのです。
「ほう、これはなかなか面白い見せ物だな」
絹鬼の主人、いや、彼女達を捕え、きび団子を食べるように仕向けた人間、桃太郎でした。
はばかりない、好奇の視線を投げかけられて、絹鬼の中に、自身でさえ戸惑いを覚える程の、強い殺意が湧きおこりました。
「そうだ。俺が欲しいものはその凶気」
悠々と桃太郎は、絹鬼に近づいていきます。彼女の美しい髪に桃太郎が触れました。す
ると、先ほどまで彼女が抱いていた殺意はか
き消えて、かわりに深い安心感がやってきた
のです。
「だめっ!」
彼女は叫んで、顔をそむけました。桃太郎
に心を一瞬でも許そうとした、自分を恥じるかのようでした。
「これは残念だ。お前はかなりの人見知りらしいな」
桃太郎はこの状況を楽しんでいました。そして、外に隠していた、絹鬼の仲間の名を呼んだのです。
「真鬼。出番だ、絹鬼を慰めてやれ」
「ご主人様、おまかせくださいませ」
その声と共に牢へ入ってきた真鬼の姿を見たときの絹鬼の表情は、驚きというよりも、恐怖に近い物でした。
絹鬼の友達の真鬼が、まるで犬のような姿に変わり果てていたのですから。
そしてその恐怖は、真鬼の姿を「美しい」と思ってしまった自分にも向けられたものだったのです。
「へえ、絹鬼ちゃんは鳥なんだ。すごくきれいな羽が生えてる」
真鬼は、全く恐れることもなく、絹鬼に近づいていきます。
姿は変わっても、心までは変わっていない。そう絹鬼に思わせるほど、真鬼はあくまで「いつも通り」でした。
でも、普通はこんなに恐ろしいことがあったなら、どうかなってしまうものではないでしょうか。
そう思うと、絹鬼は急に、真鬼の自然さが不気味に思えてきたのです。
「こないで!真鬼ちゃんは普通じゃないよ!」
「何を言っているのよ。わたしはきび団子の力で生まれ変わっても、わたしのままだよ。
絹鬼ちゃんも食べたんでしょ?なら、わたしがどんなにしあわせなのか分かるはず」
嘘だと絹鬼は思いました。
きび団子を食べても、わたしはわたしのままという、真鬼の言葉には嘘があるのです。
だって、このやりとりの間にも、絹鬼は自分の心が、とても邪悪なものに塗り替わっていくのを感じていたのですから。
葛藤の間にも、変身は続きます。絹鬼の足の指から、鷲のようなかぎ爪があらわれ始めました。
変化とともに、何とも言えない気持ちよさが体を包みます。
「いやあ、ううう……」
目を固くつむりながらも、変身がもたらす気持ちよさに耐えることができません。
ですが、真鬼も、絹鬼が今感じているような気持ちよさの末に、あんな姿になったのだと思うと、心をゆるすことはできないのです。
「無理しなくていいの」
震える絹鬼に、真鬼はやさしく囁きました。
耳元で囁く真鬼の顔は、先ほどの笑顔とは一転、冷たい表情に変っていたのですが、絹鬼には分かりませんでした。
「たとえ、あなたが変わっても、わたしはずっと友達でいる。約束よ」
表情が変わっても、その可愛い声には全く邪気が見えません。
絹鬼の行き場のない心は、次第に真鬼に傾いていきました。
「ずっといっしょ?」
「そう、ずっといっしょ」
真鬼の指が絹鬼の人さし指に絡みました。
指きりゲンマン、嘘ついたら針千本飲ます。
固く閉じていた絹鬼の目が、ゆっくりと開きました。見るものに恐怖を与え、委縮させる、鋭い眼光が溢れています。
「ありがとう」
感情のこもらない声で絹鬼が言ったあとすぐです。彼女の身体は、一気に鳥の姿へと変わっていきました。
手足の鋭いかぎ爪、ピンと伸びた尻尾。薄い胸には、羽の色と同じ、玉虫色の衣が覆っていきます。
急速な変身を見て、微笑をたたえているのは桃太郎だけではありません。
犬奴隷となった真鬼も、変身を続ける絹鬼自身も、この異常な事態を楽しんでいました。
心の底から楽しんでいました。