担当科目について・・
担当するピアノ実技の授業では、次のことを目標にしています。
・ ピアノ実技の奥義に触れる。
・ ピアノの特長をその構造面とホールの規模(残響)との兼ね合いから捉えることに成功し、ラフマニノフやプロコフィエフを筆頭として20世紀以降、モスクワ音楽院を始め非常に数多くの一流ピアニストを輩出したロシアンピアノスクールに固有な「重量奏法」を伝授する。
・ 拍感・脱力・合理的に考え抜かれた現代的運指法・「歌」の極意に迫るイントネーション・フレージング・ペダリングなどの技術的側面だけでなく、楽譜の読み方、特に作曲されたときの精神面や「譜面の向こう側にあるもの」を読み取り、それを再現する力を身につける。
熟練芸を意味する“Virtuoso(名人芸)” とは “virtue(高貴さ)”から派生した言葉です。「困難の克服、そして勝利」、それがピアノ演奏という難解で高度な技を身に付ける努力を惜しまなかったときに与えられる一つの賜物ではないでしょうか。
自身の活動について・・
1975年東京生まれ。1994年桐朋女子高等学校音楽科(共学)を首席で卒業後、渡露。2000年ロシア国立モスクワ音楽院を実技5+の成績で卒業。2002年同大学院修了。2002年モスクワで開かれた第3回ラフマニノフ国際ピアノコンクールにおいて外国人として初の第1位を受賞。合わせて副賞も受賞。これまでの活動に対して2004年ロシア・ペルミ市長より功労感謝状を授与される。モスクワ音楽院大ホール及び小ホールにて協奏曲とリサイタルを数回開催。
モスクワ、タンボフ、イジェフスク、ペルミ、ヴォローネジ、オムスク、ヴォログダ、キスロヴォツク、トゥーラ、ベルゴロド等にてリサイタル、協奏曲のソリストとして出演。
フェドセーエフ、コーチネフ、アンナマメードフ、シェスタコフ、ヴァシーリエフ、ヂャチェンコ、タブリク、ハリロフ等の指揮者と協演。
日本国内では東京文化会館、日本大学カザルスホール、横浜みなとみらい、練馬文化センター、町田市民ホール、習志野文化ホール、秦野文化会館などでリサイタル開催。
ボリショイ交響楽団(BSO)、モスクワ交響楽団、ヤロスラブリ交響楽団、オムスク交響楽団、タンボフ交響楽団、ミンボード交響楽団、HRTクロアチア放送交響楽団、秦野市民交響楽団、町田フィルハーモニー交響楽団、大江戸交響楽団、会津若松市民交響楽団、鎌倉交響楽団、郡山市民オーケストラ等と協演。
ピアノを小西由紀子、坂田晴美、兼松雅子、A.ムンドヤンツ、V.メルジャーノフの各氏に師事。伴奏法をM.クラフチェンコ、室内楽をモスクワトリオのA.ボンドゥリャンスキー、指揮をE.クストフスキーに師事。
「ラフマニノフ・24のプレリュード」2枚組CDをムジークレーベンよりリリース。
国内及び、ロシア、クロアチア、タイなどでリサイタル・協奏曲のソリストとして活躍する。現在、尚絅学院大学総合人間科学部子ども学科講師。宮城学院女子大学音楽科非常勤講師。
メッセージ・・
全ソ連ピアノコンクールでリヒテルと第1位を分け合った恩師メルジャーノフ先生は、常に「音楽は語っていなければならない」と仰っていました。では何をどう語るべきなのでしょうか。情報伝達的である「話す」とは異なり、「語る」には確実に伝えたい明確なイメージがあります。そのイメージ(曲想)をはっきりと掴んだ上で然るべきイントネーションを探求することにより、演奏者自身も聴衆にも納得のいく演奏(語り)が可能になってくるのです。若き日の努力は間違いなく一生の財産になります。自分自身を日々新たにしていけるよう、虚心になって練習や勉強に励んでください。
(2010.5)
|