長州出身の安倍総理、会津で謝罪したと言うが・・・。

福島県の会津若松市で14日、安倍首相が参議院補選の街頭演説で「わたしは山口県の出身。先輩がご迷惑をお掛けしたことをおわびしなければいけない」と言ったという。諸外国に謝罪したことはない首相が珍しく謝罪したが、翌日の地元紙のインターネット版にそのことが載っていないので地元の人たちは、謝罪と受け止めていないのかもしれない。

　私事だが、自分は会津藩士の末裔である。いろんな機会に会津戦争の話を聞いたことがあるが、長州（山口）に蹂躙され、辛酸をなめ尽くされれた歴史がある。江戸幕府を倒すべく戊辰戦争が1968年に勃発。緒戦の鳥羽伏見の戦いで薩摩、長州の連合軍は天皇の権威を全面にたて錦の御旗のもと、将軍・徳川慶喜は敵前逃亡に近い形で退き倒幕は確定的となった。

　と同時に会津藩主で京都守護職として、実質的に京都にあった幕府で慶喜を脇で支えた松平容保に追討令が出て会津で政府軍と一線交えることとなってしまった。この戦いには庄内藩、仙台藩も会津を支援したが勢いと兵力に勝る政府軍の奇襲にあい各地で敗戦していく。若松城の火災を落城と間違えた白虎隊の隊士が自刃した悲劇はあまりにも有名だ。そして１カ月にわたる戦いの後、会津は降伏した。

　しかし戦闘終結後、政府は会津藩の戦死者の遺体収容を賊軍という理由で許さなかった。また長州藩士を中心とした政府軍は略奪、強姦の限りを行った。会津藩士の一部は函館戦争にも参加したが、そのとき函館の高竜寺という寺が野戦病院になっていた。しかし会津藩士の負傷者が多く居るとわかった政府軍は負傷者を虐殺するという行為まで行った。

　その後、廃藩置県が行われ福島県では福島が県庁所在地となったが、会津と距離を置くためと言われている。それだけでなく政府のインフラ整備も会津を避けて行い、会津藩出身者の官僚などの登用もしばし妨害された。しかも1888年の磐梯山の噴火による被害で会津の人々の苦しみは極みに達している。私の曾祖父が会津を出たのもそのころと聞く。

　そのため会津にとって戦争とは太平洋戦争ではなく会津戦争であり、旅館やタクシーは客が山口県人とわかると乗車や宿泊を断ったといったこともあったらしい。また1986年に山口県萩市が会津若松市に友好都市提携を結ぶ話を持ちかけたが、会津若松市はそれを断っている。それほど根が深い遺恨があるのだ。

　安倍首相の謝罪に会津の人はどこまで納得したのだろうか？【了】

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