サッカーW杯:北朝鮮でも人気、中継時は街に人影なし

 平壌では最近、夜9時になると街の人影がまばらになるという。朝鮮中央テレビで録画中継されるサッカー・ワールドカップ(W杯)の試合を見るために、住民たちが早めに帰宅しているからだ。17日付の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙・朝鮮新報によると、W杯の放送時間には電車やバスの利用者がいなくなるという。

 平壌の衣料工場に勤務するチョ・チュンソンさん(36)は朝鮮新報の取材に対し、「これまでは夜遅くまで働いていたが、最近は夜8時前には終わる。W杯の中継が始まる前に仕事を終わらせようという意見が多数を占めたからだ」と述べた。

 北朝鮮代表は先日16日、予選リーグ第1戦で世界最強のブラジルを相手に善戦し、その後はW杯関連の報道があふれている。朝鮮中央通信は17日、「高まる期待」と題したニュースで、北朝鮮代表を応援する各界からの激励の言葉を伝えた。また、朝鮮新報は南アフリカに特派員を派遣し、「(ブラジル戦でゴールを決めた)志尹南(チ・ユンナム)選手との対話」「ブラジル戦で希望が見えた」といった見出しでW杯関連のニュースを相次いで報じている。

 北朝鮮でのW杯の熱気は、金正日(キム・ジョンイル)総書記による「サッカーへの愛情」と密接な関係がある。かつて北朝鮮代表の監督を務め、2004年に脱北したムン・ギナムさん(現・蔚山大学サッカー部顧問)は、「金総書記は幼いころからボールをけるのが好きで、大のサッカーファンだ。代表選手にはいつも最高級のユニホームやシューズが与えられ、ほかの競技の選手がうらやましがっていた」と述べた。

 韓国政府の安全保障関連部処(省庁)の関係者は、「W杯が開幕してからは、金総書記の現地指導が少なくなった。衛星生中継で主な試合を朝まで観戦しているからかもしれない」と述べた。

李竜洙(イ・ヨンス)記者

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朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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