2010-05-05 【訂正告知あり】沖縄の人たちの心の傷に塩を塗る人

昨日5月4日。「抑止力」云々といった、自公政権と何ら変わりないロジックでもって鳩山首相が「県内移設」を表明した日。この日は鳩山政権が終局への時を刻み始めた日であると同時に、沖縄の人たちが本土、ヤマトに対して徹底的に失望した日として歴史に刻まれるでしょう。
■謝罪行脚に怒号 宜野湾の叫び悲痛「子ども守れ」「良心は」(沖縄タイムス)
【宜野湾】時おり米軍機の爆音が響く会場で住民が目の当たりにしたのは、迷走の末に「県内移設」にたどり着いた日本の最高権力者がおわびする姿だった。普天間飛行場を抱える宜野湾市の普天間第二小学校体育館で開かれた鳩山由紀夫首相と住民との対話集会。沖縄の基地負担軽減に向けた決意をにじませつつも、鳩山首相は県民に新たな基地を受け入れるよう請うた。「子どもたちを守って」「恥を知れ」―。首相に県外・国外への移設を迫る住民ら。政府との溝は、埋めがたいほどに広がった。
午後2時25分。金属探知機が設置され、多数の警察官が警備する会場に鳩山首相が姿を見せた。こわばった表情。定員約100人の住民側からも拍手はなく、沖縄の将来を左右する首相の言葉に神経を集中させた。
「大変難しい日米の交渉の中で、皆さまにも負担を願えればという思いで参った」。住民のわずかな望みは、打ち砕かれた。
同校で6年1組を担当する下地律子さん。「騒音による昨年度の授業の中断は実に50時間。それだけの時間を706人の子どもたちが奪われています」と訴えた。「墜落したときにどのように子どもたちを守ったらいいのかと、いつもヘリを見上げています。一日も早い閉鎖を」。子どもたちの手紙が入った封筒を首相に手渡した。
最も騒音が激しい上大謝名区に住む富浜正子さんは、2月に起きた震度5弱の地震に「墜落事故か」と跳び起きた。「米軍が沖縄に駐留するから抑止力があるという。1時間で飛べる九州ではだめですか。大阪や東京ではだめですか。日本全体で負担を分かち合ってください」と迫った。
安全保障や距離的な制約を挙げて県内移設への理解を求める鳩山首相。集会終盤には、会場から厳しいやじも飛んだ。「良心はないのか」「納得してません」。2004年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故で破片が自宅に飛び込んだ中村桂さんは「首相でなければ、いったい誰に言えば願いはかなうのか。ショックです」と涙ぐむ。
退席間際の首相に、制止をふり切って駆け寄った同市真栄原の国政美恵さんは、ノートを破り取って急ごしらえした手紙を手渡した。「県外を貫いて」。そう声を掛けると、首相は「はい」と答え握手した。その言葉を信じたいと願う。
米軍機、説明遮る
騒音響かせ飛ぶ
第二小屋上から視察中
【宜野湾】宜野湾市民との対話集会に先立ち鳩山由紀夫首相は4日、市立普天間第二小学校屋上から普天間飛行場を視察した。伊波洋一市長が、住宅地が密集する同飛行場の現状を説明すると、鳩山首相は神妙な面持ちで耳を傾けた。
返還跡地利用計画について鳩山首相は「地主の方は全部分かっているのか」と質問。伊波市長は「軍用地主会から聞きながらやっている」と回答し「返還後の心配はしていない。問題は返還が遅れていることだ」と指摘した。
騒音の影響について同校の知念春美校長は「先生の話が聞こえず授業が中断する。(幼稚園児を含め)800人の子どもたちの命を預かっている校長としては、一日でも早く安全・安心で、静かな環境で学ばせたい」と切実な思いを語った。
説明しているわずか8分の間に、米軍機が何度も上空を飛び交い、騒音で会話が遮られる場面もあった。また、グラウンドから市民らが「首相は公約を守れ」と叫び続けた。
表情硬く「礎」を訪問 糸満
鳩山由紀夫首相は4日午前、自衛隊機で那覇空港に到着後、糸満市の平和祈念公園を訪れ、沖縄戦の犠牲になった戦没者に献花した。
午前10時前に車から降り立った鳩山首相は濃紺のスーツに同色のネクタイ。約15人の警察官に厳重にガードされながら献花し、10秒ほど深々と頭を下げた。約24万人の戦没者の名前が刻まれた「平和の礎(いしじ)」を見て回ったが、表情は硬く無言のままだった。
普段の休日は家族連れでにぎわう平和祈念公園も、この日は黒スーツを着た私服警察官の姿が目立ち、上空ではヘリコプターが旋回するなど異様な緊張感に包まれた。
■切れた期待の糸 名護市民、失望深く 首相「県内」表明 「歓迎」の看板書き換え 各地に拒絶の列(沖縄タイムス)
「最低でも県外」を公言した日本のリーダーの姿はなかった。「引き続き、負担をお願いせざるを得ない」。力ない言葉に、沖縄は深い失望に包まれた。4日、日帰りで来県し、米軍普天間飛行場近くの普天間第二小学校であった対話集会や、名護市で稲嶺進市長との会談に臨んだ鳩山由紀夫首相。県外移設に一筋の望みを抱き、一挙手一投足を見守ってきた県民の期待は、怒りにふるえる抗議の嵐に変わった。
鳩山首相と稲嶺名護市長の会談場所は名護市民会館1階のホール。ガラス戸を隔てた外側では「怒」や「ウソつき」などのプラカードを掲げる市民ら約300人が注視する騒然とした雰囲気が漂い、「新たな基地を造るな」「政権は公約を守れ」などの怒号が乱れ飛んだ。
「辺野古の海はもとより陸上にも新たな基地は造らせない」「選挙で公約したことを実現できるよう英断をお願いしたい」。そう畳み掛ける稲嶺市長に、鳩山首相は「市長さんのお気持ちを学ばせていただきたい」と何度もガラスの外に視線を泳がせながら歯切れ悪く答えるだけ。遠回しながら県内移設への理解を求める姿勢に、稲嶺市長は厳しい表情を浮かべ、時折メモを走らせた。
会談は20分足らずで、秘書官に促されるように退席した鳩山首相。稲嶺市長に「辺野古に戻ってくるようなことが絶対にあってはならない。このことだけはしっかりお引き取りいただきたい」とくぎを刺されながら、市民たちの視線を避けるように会場を後にした。
会談後には反対派の集会もあり、妻と3人の子と一緒に参加した同市瀬嵩の渡具知武清さん(53)は「首相には勇気を持って『県外』ということを言ってほしかった。少し期待も残っていたが、県民の声が届かなかった」とがっかりした様子で話した。
会談に先立ち、鳩山首相は同市辺野古の米軍キャンプ・シュワブを視察した。「ヘリ基地いらない二見以北十区の会」の浦島悦子共同代表(62)はシュワブのゲート前で「県内移設拒否」と書いたプラカードを掲げて立っていた。
鳩山首相来県の前夜、「県民の思いを米側に届けてくれるかもしれない」とのいちるの望みを持って「県外移設歓迎」の文字を記した。しかし、仲井真知事との会談で、県内移設を表明したとの情報を知り、怒りにふるえながらプラカードの裏に文字を書き換えた。「完全に打ち砕かれて、腹が立った。今までかなり苦しんだこともあったが、また同じことが繰り返されるのか。ゴールが遠のいた」
県庁前 600人抗議
県内の平和団体や労働組合などでつくる「基地の県内移設に反対する県民会議」は4日午前9時から、那覇市の県民広場で緊急集会を開いた。県内各地から約600人(主催者発表)が参加。名護市辺野古からもお年寄りら約10人が駆け付けた。
参加者は鳩山由紀夫首相が県庁に入るのに合わせ、横断幕やプラカードを掲げて周辺の沿道に待機し、「4・25の民意を尊重せよ」「基地のたらい回しはやめよ」などとシュプレヒコール。鳩山首相が仲井真弘多知事や高嶺善伸県議会議長らとの面談で、県内移設を表明したとの情報が伝わると、「えー」と失望が入り交じったため息がもれた。
読谷村の彫刻家、金城実さん(71)は「具体的なことは言わず、沖縄の意見を聞いたというアリバイづくりに来ただけだ。沖縄の人間があきらめると思ったら大間違い。くい1本打たせない」と憤った。
「有権者だました」
「県外」公約否定
鳩山由紀夫首相が昨年の衆院選時の「最低でも県外」との発言は党の公約でないとの考えを示したことに対し、国外・県外移設を求める4・25県民大会を主導してきたメンバーや識者からは「情けない」「公約破りだ」「政治不信を助長する」と怒りの声が相次いだ。
県民大会で共同代表を務めた連合沖縄の仲村信正会長は「言い逃れは県民を愚弄(ぐろう)しており、政治家としての資質を問われる。責任者として発言の重みへの自覚が足りず、総理になる資格はないのではないか」と「公約破り」の姿勢を批判した。
同じく共同代表の大城節子県婦人連合会長は「沖縄は終戦から65年間も基地を負担してきた。さらに負担をと、どうして言えるのか考えられない。情けなさと怒りで体中の力が抜けた」と深いため息をついた。
県民大会の幹事団体の一つで、県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「政府の目は沖縄でなく米国を向いていて腹が立つ。県外移設が公約ではないと言うなら、沖縄に来たのは個人の観光か」と言葉に怒りを込めた。
八重山大会の実行委員会を構成した「いしがき女性9条の会」の藤井幸子事務局次長は「大会での県民の声をどう受け止めたのか。絶対許せない」と憤る。宮古地区大会の星野勉共同代表も「県民に期待をさせておきながら、あまりにもばかにしている」と怒りをあらわにした。
政治家や要人の発言を集めた著作もある照屋寛之沖縄国際大学教授(行政学)は「政治家の言葉に『個人』の発言はない。一国の首相の言葉とは思えない」とあきれ、「有権者は選挙での政治家の言葉を信用して投票する。首相自ら有権者だましをするなら、政治不信を一層助長することになる」と指摘した。
これ程までに鳩山政権が沖縄の人たちを愚弄した事が明白になっているのに、呆れた事に怒るべき事に、鳩山政権マンセーの人たちは恥知らずにも根拠無き楽観論、崩れ去った鳩山首相の善意をばら撒き続け、沖縄の人たちの心の傷に更に塩を塗りたくっています。
どうしても普天間問題を「政争の具」にしたい自民党は「鳩山VS沖縄の民意」という図式にしたいみたいだけど、残念ながら沖縄の民意は「鳩山さんがんばれ!」という色合い。沖縄の民意は「自民党政権に戻ったらすべてが終わり」「鳩山さんに踏ん張ってもらいたい」というもの。
鳩山由紀夫氏が、今回、公約を全て守ることが出来なくても、これは、アメリカに対する隷属関係から自由になる第一歩を日本国民に示した重要な意義があると、私は考えたい。
無闇に、鳩山由紀夫氏を批判する勢力の正体を、国民は知るべきだ。
(その正体は凄いよ。どろどろしているよ。目をふさぎたくなるよ。そう言う人間が、大手を振って跋扈しているのが今の日本なんだよ。)
■地元住民基地拒絶は海外移設決着への一里塚(植草一秀の『知られざる真実』)
昨日の「たたき台提示」が、最終的に海外移設を決定するためのひとつのステップである可能性を否定できない。
鳩山総理がすべてを読み抜いて、海外移設に結論を誘導しようとするなら、その政策運営手腕は見事と言わざるを得ない。
5月末の期限が迫っているが、現段階で鳩山内閣による問題解決が挫折したと判定するのは時期尚早であると思われる。
彼らの空疎極まりない鳩山擁護は、心の奥底にある沖縄軽視・蔑視の裏返しであります。彼ら恥知らずな人たちにはこの5文字の言葉を送るだけで十分です。
ふ・ざ・け・る・な
【訂正告知】
元のタイトルは「沖縄の人たちの気持ちに塩を塗る人」でしたが、matu様のご指摘により訂正いたしました。ありがとうございます。m(_ _)m
彼に向けるべきは、怒りよりむしろ憐れみなのかもしれないと思っています。
であることが現実です。