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さい銭の外国硬貨、両替困難…ユニセフへ寄付の動き拡大

2010年6月20日10時5分

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 外国人観光客が急増している京都や奈良で、寺社のさい銭の中に両替が難しい外国硬貨が増え、関係者が悩んでいる。京都府内の神社などは、日本ユニセフ協会(東京)に寄付する取り組みを始めた。

 歴史的景観や有名寺院が多い京都はここ数年で特に外国人観光客の人気が高まり、京都府の集計では2008年度は宿泊客数だけでも95万5109人。04年度の約55万人の倍近い。奈良県内を訪れる外国人訪問客数も、県によると08年が54万3千人と、10年前の2.8倍になった。

 世界遺産の清水寺(京都市東山区)の広報担当者によると、寺で保管している外国硬貨は「100キロではきかない」。興福寺(奈良市)では、外国硬貨が「小箱2箱と紙袋ひとつ分」になり、紙幣は束ねて約2センチほどになっているという。広報担当者は「様々な国のものが混在しているので、両替できず、困っている。今後も保管するしかない」とこぼす。

 現存の木造建築として国内最大と言われる二重門「三門」(国宝)を持つ知恩院(東山区)も大量の外国硬貨に頭を抱える。「欧米のように、募金は紙幣しか受け付けない方式にすれば硬貨自体を減らせるのでは」(広報担当者)と対応を検討中だ。

 ドルやユーロの硬貨を取り扱う金券ショップはあるが、それ以外の外国硬貨を両替するところはほとんどない。硬貨は両替需要が少ないうえ輸送コストが高くつき、商売として成り立ちにくいからだ。

 そんな中、京都府内1578の神社が加盟する府神社庁は、5年ほど前の会合で偶然話題になったのをきっかけに、06年から日本ユニセフ協会の「外国コイン募金」への寄付を始めた。加盟する寺社に呼びかけ、同年は重さ100キロを超える硬貨が集まり、昨年も約70キロになったという。奈良市の東大寺も、硬貨はユニセフに寄付している。

 日本ユニセフ協会などによると、外国コイン募金には、東京都神社庁のほか各地の寺院や神社などからの寄付も多い。各国の教育や医療、保健衛生などの設備やサービスの充実に使うため、航空会社などの協力で米国や欧州に運んでいるという。

 府神社庁の中嶋茂博参事は「外国の人が入れてくれたおさい銭が、再び外国で役に立つのはすばらしい」と話している。(松谷慶子)

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