家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の感染拡大で、政府は17日、鳩山由紀夫首相を本部長とする対策本部を設置し、2010年度予算の予備費を使って消毒などの防疫措置や農家への経済支援を拡充する方針を決めた。また、口蹄疫対策の特別措置法の検討に入った。発生地域の牛や豚へのワクチン接種の支援や接種を受けた家畜の肉の買い上げなどが対象になる見通し。
宮崎県庁内には、農林水産省の山田正彦副大臣を本部長とする現地対策本部を設置。感染拡大を防ぐ防疫担当と、農家などへの経済支援担当、関係省庁との連絡調整担当の3チームで構成し、首相補佐官や各省担当者が常駐する。鳩山首相は対策本部の初会合で「現地と対策本部が連携し、一刻も早く農家や宮崎県のみなさんに安心していただける状況をつくりたい」と述べた。
対策本部は(1)消毒ポイントの増設や消毒の徹底(2)防疫活動に携わる自衛隊員の増派(3)畜産農家の生活や経営再建の支援(4)地元自治体が負担する費用を特別交付税で補てん‐などを速やかに行うとしている。
宮崎県では17日までに、感染が疑われる農場が100カ所を超え、処分対象の牛と豚は計約8万5千頭に達するなど、国内では過去最悪の事態となり、被害額は約160億円に上った。畜産農家などからの「政府の対応遅れが感染拡大につながった」との批判に対し、平野博文官房長官は同日の会見で「それはないと思う」と述べ、これまでの対策に不備はなかったとの考えを強調した。
=2010/05/18付 西日本新聞朝刊=