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2010.06.20

若冲展で好感度が急降下した細見美術館!

1663_3            ‘海老図’(細見美)

昨年信楽のMIHO MUSEUNで開催された‘若冲ワールド’と今回の‘伊藤若冲 アナザーワールド’(静岡県美&千葉市美)を体験し、図らずもある美術館の嫌な体質がわかった。

‘若冲ワールド’の感想記のなかで、若冲作品を所蔵している美術館やお寺のことにふれた(拙ブログ09/10/8)。この回顧展に若冲コレクションでは名の知れた細見美(京都市左京区)からは1点もでてなかった。で、MIHO MUSEUMとは相性が悪いのかなと余計な想像をめぐらしてしまった。今年、再び‘アナザーワールド’が行われることになり、細見の20点ちかくある絵でまだみてないものが出てくるのをすごく期待していた。

ところがふたを開けてみたら、出品作は‘海老図’だけ。これはどうしたことか?この回顧展には若冲の画集に載っている有名な絵が数多く展示されている。主だったところをあげてみると、京博は‘石灯籠図屏風’、‘果蔬涅槃図’など5点、大阪の西福寺は重文の‘仙人掌郡鶏図’(5/17)や‘蓮池図’(6/1)など4点、また、京都の鹿苑寺、禅居庵、石峰寺、和歌山の草堂禅寺といったお寺関係、黒川古文化研究所、平木浮世絵財団、イセ文化基金の作品など、、そして、個人蔵でも画集に載っている有名なものやまだこんなのがあったの?と驚かされる屏風も登場した。

2度のビッグな若冲展には日本にある代表的な若冲作品が相当数結集したことになる。昨今の若冲人気に応える大イベントというのに、20数点も所蔵している細見美は1点しか協力しないのである。何故か?細見にとって自慢の絵‘糸瓜群虫図’、‘瓢箪・牡丹図’、屏風の‘菊花図’、‘群鶏図’などを出品するメリットはない。こういう回顧展にだすと美術ファンが自分とこの美術館に来てくれなくなる、だからいい絵は絶対出さないのである。

若冲本に図版を載せるのは出版社からお金も入るし、館のPRになるから。‘伊藤若冲大全’(京博編、小学館)や‘もっと知りたい若冲’(佐藤康宏著、東京美美術)や‘異能の画家伊藤若冲’(狩野博幸著、とんぼの本・新潮社)にはいくつも載っている。またこの美術館はデパートでは館蔵名品展をやる。過去、日本橋高島屋で2回あった。06年の‘京琳派・神坂雪佳展’と昨年の‘日本の美と出会う’(09/6/3)。

本格的な若冲展には出品しないで、‘日本の美と出会う’には数点若冲の絵をだす。これはどうしてか?簡単なこと。デパートに出すとお金がもらえるし、ランキング下位のものでも文句は言われないから。どうせデパートにくる女性客が相手だから高島屋はそこそこの若冲があれば即OK。

が、本格的な回顧展となると一番いい絵を主催者から依頼される上、原則貸し出し料は入ってこない。‘そんな算盤勘定に合わないことはしたくない、うちのセリングポイントは人気の若冲なのだから、見たければ美術館へ来てくれ!’といいたいのであろう。今回の若冲展でこの美術館の素性をみた思いである。

ここは2度訪問したが、毎度いいイメージがない。料金が高いし、ニュースレターも有料。そして、ショップスタッフの無愛想な態度が致命的!ここの一族がどうやって資産を形成したかは知らないが、若冲作品を貸し出さないその了見の狭さ、態度の悪いスタッフをみれば、まぁーお里が知れるというもの。

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コメント

 はじめて、コメントさせて頂きます。
 平素、ブログを拝読しております。

 本日の記事ですが、お怒りな気持ちは察します。
 切望している作品、期待している作品の出品がないというのは、とても残念な気持ちがします。

 本日の記事は、やや行き過ぎな面があるような印象を受けます。
 細見美術館さんへの建設的なご批判であれば、記事として公開する意義があると思います。

 しかし、「金にがめつい」という印象を一方的に与えかねない内容は、どうでしょうか?
 今回の一連の若冲展に出品しない経緯につき、諸事情をすべて把握した上で、記事になさっているのであれば、その根拠や情報源を可能な限り公開した上で、批判するべきと思います。

 あくまで私見ですが、ブログを行うというのは、個人で一つの報道機関を持つことと同義と思います。
 報道機関は、通信社名、新聞社名やテレビ局名を公開した上で、情報を発信しています(場合によっては、担当記者の氏名も)。発した情報への責任と批判を前提としています。
 ブログの場合、運営者の方の情報が公開されている訳ではありませんから、発した情報につき、最終的責任を担保していません。
 そうであれば、批判的記事は、余程慎重になさるべきではないかと感じます。

投稿: 訪問者 | 2010.06.21 00:34

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