非発生地域備え急ぐ 終息見えずピリピリ

(2010年6月20日付)

 発生から2カ月が経過したが、いまだ終息の兆しが見えない口蹄疫問題。感染の飛び火を受け、発生していない地域では「いつ発生してもおかしくない」と緊張感が高まっている。

 非発生15市町村のすべてで家畜埋却地の選定に着手しており、うち9市町村では確保または選定を終えるなど、万が一への備えが急ピッチで進んでいる。

 宮崎日日新聞社では非発生市町村を対象とした調査(18日現在)を行った。初動防疫で重要視される患畜埋却地の選定状況では小林市が「確保済み」と回答。8市町村が「選定済み」、6市町村が「選定中」と答えた。一方で、「(面積の)95%が山林のため、選定は慎重に行っている」(諸塚村)という固有の問題が見られたほか、「『埋めた後、ガスが出るらしい』などのうわさが広がり、近くの住民の同意が得られない」と頭を抱える市町村もあった。

 殺処分、埋却作業に要する人員や資材、重機の準備については6市町村が終えており、7市町村が準備中。延岡市は市職員を1班20人で5班編成し、既に殺処分と埋却の方法について研修を行っている。「未定」と回答したのは2市町村にとどまった。

 9日に感染疑いの牛が確認された都城市は、感染終息にこぎ着けたえびの市を参考に、事前に独自マニュアルを作成、迅速な対応につなげた。同様に非発生のうち6市町村が都城市や日向市を参考にマニュアルを作成。日南市は「状況に合わせて常に見直ししている」という。「作成中」は4、「なし」は5市町村だった。

 このほかの備えも各地で進む。発生地域に隣接する小林市は、畜産農家にファクスや手紙で口蹄疫に関する最新情報を発信。防疫意識の向上と情報不足の解消を目指す。JAこばやしの福嶋昭治畜産部長は「(口蹄疫に)攻められてきている感じ。農家など関係者はピリピリしている」と話す。

 高千穂町職員は「最初は遠くの土地の話と思っていた」と明かす。しかし、感染の広がりが日向市に及んだことで状況は一変。同町では「いつ高千穂で発生してもおかしくない」と沿岸部から続く道路を中心に消毒ポイントを設置するなど、初動態勢を整えている。