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家畜大半が共済対象外 議県農済連対応苦慮
(2010年6月20日付)
農家が家畜の病気や死亡に備えて加入する家畜共済が、今回の口蹄疫で大半が支払い対象とならず、県農業共済組合連合会(NOSAI連宮崎、工藤悟会長)が対応に苦慮している。
国がNOSAI連宮崎を大きく上回る時価評価を行い、しかも満額補償するため。「加入している意味がない」などと苦情が寄せられていることを受け、19日に宮崎市内で県や本県関係国会議員との意見交換を行い、対策を協議した。
家畜伝染病予防法(家伝法)では疑似患畜の場合、国の補償が5分の4と決まっており、共済は残りの損失分を補償していた。しかし、今回は例えば、生後23カ月の繁殖雌牛の場合、評価額は81万円で5分の4を掛けても64万8千円。一方のNOSAI連宮崎の評価額は、おおむね50万円で、損失が発生しない計算となり支払いができない。
評価額は共済の新規加入や年1回の更新時に決めるが、再評価を行えば額を81万円に合わせることは可能という。この場合、5分の1の16万2千円を国の補償(一部は県の見舞金)に上乗せして支払える。しかし、再評価には月齢や掛け金の期間など条件があり、大半が適用できない。
さらに、ワクチン接種後の殺処分は健康な家畜が対象だけに共済の適用外となる。
ワクチン接種、感染・感染疑いを合わせた殺処分対象は約27万頭。このうち共済加入の家畜頭数は9万7千頭だが、現状では大部分が恩恵を受けられない。
共済掛け金の平均額は肉用牛1頭で年間4600円、酪農牛が同9500円、肉用豚は同千円。大規模経営の農家から「何百万円も払って共済金が出ないのはおかしい」と苦情も出ているという。
NOSAI連宮崎は、このままでは共済離れが起きると警戒。同日の意見交換で国会議員からは「不公平感をなくしたい」などと声が上がったという。工藤会長らは政府現地対策チームの篠原孝農水副大臣にも要望。篠原副大臣は「工夫や検討が必要」と制度の不備是正に前向きな姿勢を示した。