パパ手帳を考案した畑山博さんと竹本久美子さん。いずれも20歳の子を持つ。「あっという間の20年だった」と口をそろえた=京都市中京区、河合写す
子育てにいそしむお父さんが「イクメン」ともてはやされるなか、京都市中京区の産婦人科、足立病院が「パパ手帳」を作った。副題は「20年後の君へ」。妊娠、出産、成長と折々に思いをつづり、20歳になったら渡す――。パパがつづる親子の成長物語だ。
法の定めのない父子手帳を作る動きはここ10年、自治体などで広がる。おむつ替えや遊び方、しつけのノウハウを示し、成長を記録する内容が多い。
畑山博院長(50)のねらいはちょっと違う。「成長の記録ではなく、成長の記憶を残したい。父親はいろいろ思っても照れて言えないしね」
そこでパパ手帳では折にふれて子どもの写真をはり、思いを書きこむようにした。妊娠がわかったとき、おなかの中の君に伝えたいこと、いよいよ出産、1歳おめでとう、中学校入学おめでとう……そして、20歳の君へ。
「成人おめでとう」と言って渡したら、わが子はどんな顔をするだろう。いつか親になり、子育てに悩む日がくるかもしれない。そのときは、手帳を取り出して見てほしい。「ぼくも夜泣きでオヤジを困らせたのか。同じじゃないか」と思えば、子育てが楽しくなるだろう。
足立病院は年に1500人の赤ちゃんをとりあげる。ほぼ100%立ち会い出産。子育て支援センターの「マミーズスクエア」を設け、2006年にはパパの教室「パパスク」をつくった。パパたちが月1回赤ちゃん連れで集まり、親子遊びをして交流する。昨秋、出産前のプレパパが抱っこやおむつ替えを学ぶ「パパジュク」もオープン。手帳作りにはセンター長で保育士の竹本久美子さん(46)がかかわった。「子育てに積極的なパパが増えた。手帳を活用してほしい」と言う。
足立病院で出産する予定の妻と健診に来た会社員加納淳平さん(31)は手帳を贈られ、「パパになる実感がわいてきた。一緒にいっぱい遊ぶ父親になりたい」と話した。
希望者には500円で販売(送料100円分を含め50円切手12枚が必要)。問い合わせはマミーズスクエア(075・221・7439)へ。(河合真美江)